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『正夢』
【青春 恋愛小説】

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正夢〜希望〜-3

『…もしもし。珊瑚?』
「うん。高山くん明日空いてる?」
『…いや、ごめん。明日学校でソフトの練習なんだ』

高山くんの言葉を聞いて私は心の中でうなだれた。

「高山くんと一緒にいたい!」

一瞬、そんな考えが頭をよぎった。けど、そんなことを言うことは出来ず、私は渋々電話を切った。

つまらないなぁ…明日はな何をしようかと考えていると、携帯が震えだした。誰からの電話か確認せずに通話ボタンを押した。

「もしもし…」
『珊瑚ぉ〜!明日暇?』



土曜日。私は恵と一緒に街に来ていた。翔も練習をするから恵も暇だったらしいのだ。二人で一通り買い物をして、今はカフェでくつろいでいる。

『翔ちゃんも休みの日くらい練習しなければいいのに!』

恵の言葉に私は頷いた。男の子は一つに集中すると他はどうでもよくなるらしい。
今までは四人で遊んだり高山くんと一緒にいたりしたので、恵と二人で遊ぶのは久しぶりな気がする。


『あれ?珊瑚さんに恵さん!どうしたんすか?』

声が聞こえた方へ恵と一緒に向き直ると、そこには後輩の男の子の鹿見(しかみ)くんが立っていた。となりにいるのは彼女…かな?

とりあえず二つ三つ言葉を交すと、鹿見君は思い出したかのように話し始めた。


『そういえば、珊瑚さん高山さんとケンカでもしたんですか?』
「え、ううん…。どうしたの?いきなり」
『あ、いや…なんでも…なくはないよなぁ…言っといたほうが…』
「だから何かあったの?」

出来るだけ優しく聞いてみると、鹿見君はばつの悪そうな顔をしながら話し始めた。

『…高山さんが、他の女の子と一緒にいるのをさっき見たんで、もしかしたらと思ったんですけど…』

…え?

高山くんが…?


気が付くと、会計を済ませて私は店を飛び出ていた。

まさか…。そんなことってあるはず…。

気が付くと、私はゲームセンターに来ていた。渉くんと付き合い始めた時、ここで初めて渉くんと一緒にプリクラを撮って、彼はさらにぬいぐるみまで取ってくれた…。

少し安堵の気持が戻る。私が高山を信じなくてどうするの。
高山くんはそんなことしない。その時だった…。

入り口から二人が出てきたのは…。
高山くんと、あの人は…確かソフト部の人…。

私はとっさに身を隠した。二人は私には気付かず、歩き去っていった。

なんで…。

私はただ立っているのが精一杯だった。

『珊瑚!?珊瑚!?』


後から恵が来て私を慰めてくれたけど、私は何も考えられなかった。


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