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『正夢』
【青春 恋愛小説】

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正夢〜希望〜-2

(なにか嫌な予感が…)

私がそう思った時だった。教室から翔が出てきたのだ。高山くんは翔を視界に捕えると、

『翔〜!!!!』

開口一番に大声を上げながら翔に向かっていった。

「どうしたんだろう…」

追い掛けあう二人を止めようと思ったが、後ろから翔の彼女の恵(けい)が話しかけてきたので、私は二人を無視することにした。

(そういえば、あの夢はなんだったのかな…)

恵と話ながら、私は朝の夢を思い出していた。



授業も終わり、みんながそれぞれに放課後を楽しんでいる。一ヶ月後には全学年をあげての球技大会が待っている。

私達が通っている光堂館高校は、全生徒が軽く二千を越えるマンモス校だ。
二日間行われるこの行事に向けて春休みから練習する生徒もいるくらいなのだ。

そのためか、この季節にはみんなすぐには帰らず、練習していく人が急増するのだ。


(高山くんも練習かな…)

たしかソフトは校庭でやってるから、見に行こうかな…。
そんなことを考えながら私も練習の準備を始める。(ちなみに今年は恵とテニスのダブルスに出場するのだ)

ガラ…。

教室のドアが開く音が聞こえたので振り向いてみると、そこには高山くんが立っていた。

「高山くん、練習は?」
『今から行くんだけど、珊瑚…今日からはしばらく先に帰っててくれないか?』

いきなりの一言に私は軽く動揺を覚えた。

「なんで?」
『ソフトの練習が長くなっちゃうからさ…』
「じゃあ私終わるまで待ってるよ。いいでしょ?」
『ダメだ!』

急に高山くんの語調が強くなり、私は軽く驚いてしまった。

『あ…いや…当日まで秘密にしておきたいんだ。お前には』
「……わかった、じゃあ練習終わったら恵と先に帰ってるね」
『あぁ、わりいな。じゃあ、俺行くわ!怪我するなよ!』

私にそう言い残すと、高山くんは廊下へと走っていった。

高山くんは運動神経がいい。なんでもそつなく、平均以上のことをこなすのだ。
当日にどんな活躍するんだろう…。

当日まで秘密にしておきたいんだ…。

高山くんも意外と子どもっぽいことに私は頬を緩めた。



学校も週末になり、明日は土曜で久しぶりのお休み。家に着いて、私は高山くんと遊ぼうと思って電話をかけた。


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