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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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暗闇に現れた者-4

夕食を終え、就寝に向けて薄暗く静まり返る病室。

明るく生きよう、私にはそれしかない。

時々うるさいけど、私の事を良く理解してくれる母。デリカシーの欠片もないが、やるときはやってくれる父。一時は嫌っていたけど私と絆の事を気遣ってくれる東堂クン。そして空気のようにいつも傍にいて話を聞いてくれる菫。

今私は大切な人を失い死のうとした、もはや周りの世界なんかどーでもいいくらい。

けど、私が居なくなったら彼らもそれと同じ想いをする。こんな私を支えてくれた大好きな皆、それが私の我儘で悲しみ泣き出し自身を責める、そんなの絶対に嫌だっ!

だから、だから…私は、生きる。苦しくても悲しくても、決してラクではない道を…。大切な人の為、亡くなった彼の為、そして自分自身の為に。

ねぇ絆。

貴方は本当に亡くなったの?

決意するのは簡単、だけど小さな心が容赦なく押しつぶされ苦しい。絆と居た時間を想えば思う程…。

やめろ杏、彼は亡くなったんだ、今更そんな事を思い返したって苦しいだけだ。

判ってる…。でも、でも…消したくない、彼を私の中から。

だって、彼が彼の事がだぁーいすきなんだものっ!

だから、だから…私は、私は…。

もう、どうしていいやら判らない、世界がとことん暗闇に見える。

「杏……。」

もはや何も見えない、何も聞こえない。

「杏っ!」
「!?」

暗闇の向こうから耳にする聞く筈のない暖かい声。

「きず、な?。」
「……。」

幻影でも見てるかのようにそこに、彼の姿が……。

次回、28話へ続く。


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