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不貞の代償
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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奸計2-4

 恵には学校の制服を着させた。女体を清楚に包み込む制服姿がいい。短めのスカートからのぞく健康そうな脚。艶のあるストレートの黒髪。若々しい躰。大人の女の肉体になるには、もう少し時間がかかる。恵は可憐だった。
 会う場所はこの間、呼ばれた料亭だった。沼田がセッティングするつもりだったが、岩井の方からここを指定してきた。
 接していて恵が実に聡明な娘であることがわかった。沼田の含みを持たせたものの言い方から、全てではないだろうが、いろいろと察したことだろう。しかしこんな少女が考え得る範疇であるかどうか……。岩井の風体を思い浮かべて身震いした。
 言動から母親をゆるすつもりはない。本当に家族を捨てるつもりなのだろうか。娘にとって母親のしでかした罪はあまりに重い。武家屋敷のような佇まいを見上げ、何を考えているのだろう。
 周囲には人の気配は感じられない。薄暗く細い路地を歩いても、そこに一歩踏み入れると視界が開け、誰しもが感嘆の声をあげるであろう広い境内にも、恵の顔色は変わらなかった。
 前に会った女将が出迎えた。沼田のことは覚えているようだ。いつもの沼田であれば、うれしい気分になるのだが今日は違う。本当は誰にも顔を見られたくない。場違いな存在である恵に対しても女将は慇懃だった。長年この仕事に携わっているはずの女将から見て、少女連れは本当に場違いなのだろうか。女将の態度からそんな疑問さえわく。そう思ったとたん足が震えた。
 恵を別室で待たせて一人で入っていった。すでに岩井が来ていることは女将から聞いていてた。気が短かい性格はよく知っている。しかし約束の時間に遅れているわけではない。ずいぶん早く来ている。それに主導権はこちらにある。堂々としていればいい。と、言い聞かせるが、岩井にじろりと視線をあてられると首の後ろが硬直した。岩井の発する、人を圧倒するオーラに負けじと、沼田は見返した。岩井の前に座り丁寧にお辞儀をした。
「本日はお忙しい中……」
「うん、堅苦しいあいさつはよろしい」
「失礼いたしました」
 慇懃な態度だが頭はさげなかった。
「ほう……」
 岩井は嘆声をもらした。沼田は眉をひそめた。
「うん、なかなかよい顔をしますな」
 そう言って破顔して見せた。はらわたは別だろう。
 岩井にはあらかじめ恵ついて経緯は話してある。ウィークリーマンションに入ってから恵は学校には通っていなかった。従って居場所は誰にもわからない。連絡したのはほんの数日前だったので、用意周到な岩井でも調査しきれていないだろう。従ってまだ恵の顔は知らない。
 実は岩井からは、はっきりとした答えはもらっていない。賭であったが手応えは感じていた。恵には嘘をついた。といっても、沼田の言うこと全て虚偽である。恵を蟻地獄へ陥れる罠であった。沼田はごくりとつばを飲み込んだ。もう引き返せない。
「例の娘を連れてまいりました」
 鷹揚にうなずく岩井の表情は変わらない。ふん、タヌキめ。
「高校生になって間もないですが、なかなかしっかりした娘です。是非先生にお身請け願いたいと思っております」
 お身請けだと? 腹の中で苦笑した。
「お会いしてから決めましょう」
 あっさり言って、ぱんぱんと手を叩いた。たちまち給仕が現れ食べ物がセットされる。
「あの、娘は別室に……」
「一口飲んでからでもいいでしょう」
 岩井は眠たげな表情でそう言った。さすがの岩井でも緊張しているのだろうか。酒でも飲んで勢いをつけようということか。
 目の前に三人分の料理が並んだ。給仕が去ると、岩井のコップにビールをついだ。前回みたいに震えていなかった。岩井にじっと見られても平気だった。
「沼田さん少々見ないうちにとてもよい顔になりましたな」
「自分ではわかりませんが」
 素っ気なく答えると「悪党の顔よ」と言って、岩井はビールを一気にあおった。沼田もそれに倣う。そうかもしれない。
 二杯のビールを飲み干すと、沼田は一礼をして席を立った。岩井が眉をひそめたが出て行った。
 戻って中に入ると、不機嫌そうな岩井の顔があった。沼田は無視して「入りなさい」と、外に声をかけた。制服姿の恵が入ってくると場の雰囲気が一変した。鉄錆色が一気に鮮やかな色に染まった。
 岩井は目を見開いたまま驚愕の表情を見せていた。持っていたコップからビールがこぼれ、自分のスーツを濡らした。この男がうろたえることがあると知り、感動すら覚えた。
「佐伯恵と申します」
 正座した恵は自らそういった。岩井の不規則な息づかいが聞こえる。沼田は簡単に恵のことを紹介して腰をあげた。恵は沼田を頼るそぶりは見せなかった。「今までありがとうございます。ご恩は一生忘れません」と言い放ったのである。
 岩井と目があった。額に銃口でも突きつけられたような目だった。
 女将に送られてそこを出た。未成年への性犯罪行為が行なわれようとしていることは承知しているはずだが女将の表情は平静だった。児童福祉法に抵触ようが、モラルがどうのより上客の信頼が優先されるのだろう。このような犯罪行為などいくらでも目にしてきたに違いない。三猿を押し通す、この女も悪党だ。
 沼田だって人非人だ。頭のいい恵のことだ、初めからわかっているに違いない。この大罪を未来永劫胸に抱えて生きていかなければならない。基本的に沼田は悪人ではない。この計画を思いついてからずっと、夜も満足に眠れぬほど恐怖におびえていた。
 外へ出ると膝が折れ、その場にへたり込んだ。


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