重なり-7
不思議そうな顔で自分の顔を覗き込んでいる冬樹を上目遣いで見ながら、勇輔はぼそぼそと口を開いた。
「な、なんか今になってめちゃめちゃ恥ずかしくなってきやがった……」
「なんで?」
勇輔は冬樹の濡れた下着に目をやった。
「か、考えてみたらよ、こ、こんな状況、かなりやばくねえか? 冬樹……」
冬樹は急に寂しそうな顔をした。
「先輩が言ったんでしょ、体温を感じたいって。……後悔してるの?」
「い、いや、そうじゃねえ、そうじゃねえんだ。」勇輔は激しくかぶりを振った。
「じゃあ、どうして今になって……」
「なんか、おまえに見られながらイくってのが、とてつもなく恥ずかしく思えるんだよ」
「変なの!」冬樹は吐き捨てるように言った。「先輩ってそんな臆病者だったの?」
「そ、そうかもしんねえ……」
勇輔は肩を落としてうなだれた。
「卑怯だよ」冬樹が言った。
勇輔は顔を上げられなかった。
「僕だけイかせてもらったのに、不公平だよ。先輩は僕と抱き合って気持ちよくなれないって言うの?」
「冬樹……」
「それじゃ一人エッチと同じじゃん」
冬樹は涙ぐんでいた。
「僕、先輩の写真見ながら、毎晩先輩に抱かれること想像して、一人でやってた。それと同じじゃん」
勇輔も泣きそうな顔を冬樹に向けた。「俺だって、」
冬樹はぎゅっと口を結んで勇輔の目を睨み付けていた。
「おまえを抱いてるとこ、毎晩想像して、興奮して何度もイった。おまえを抱きたくて抱きたくてしかたない。それは今も同じだ。ずっとここでおまえの身体を抱きしめていたいぐらいだ」
冬樹の目から一粒、涙がぽろりと落ちた。
「俺もおまえを抱いてイきたい。めちゃめちゃ今、興奮してて、イきたいんだ。ただ、実際おまえがこんな目の前に……いると」
勇輔はまたうつむいた。
冬樹は静かに言った。
「付き合ってた彼女って、先輩の下着を脱がせてくれなかったんでしょ?」
「え?」勇輔は意表を突かれて思わず顔を上げた。
「だからシャイな先輩は最後までいけなかったんだ。きっと」
冬樹は照れたように涙を指で拭って、笑った。
「僕はできるよ。先輩をハダカにして、イかせてあげられるよ」
冬樹はおもむろに勇輔を押し倒し、穿いていた小さな競パンを脚から抜いた。勇輔のものは、本人も言っていた通り大きくいきり立ってびくんびくんと脈動していた。
「あっ! ふ、冬樹?」
冬樹は勇輔の逞しい胸を片手で押さえつけて自由を奪うと、おもむろにその大きく反り返ったものを、もう片方の手でぎゅっと握りしめた。
「うああああーっ! ふ、冬樹、何するっ! ダ、ダメだ! あ、あああーっ!」
勇輔は身体を硬直させて仰け反った。
冬樹は両手で激しく勇輔のペニスを扱いた。
「や、やめっ! ふ、冬樹っ!」
勇輔の身体が細かく震え始めた。
「や、やばいっ! イ、イく! 出るっ! 冬樹! 冬樹っ! うああああーっ!」
冬樹はとっさに勇輔に覆い被さり、身体を密着させた。そしてぎゅっと目を閉じて爆発寸前の勇輔のペニスを腹で押さえつけた。
勇輔は上に覆い被さってきた冬樹の身体をその逞しい腕で思わずぎゅっと抱きしめた。
びゅくびゅくびゅくっ!
勇輔は大きく身体を震わせながら、冬樹の腹に押さえ込まれたペニスから豪快に精液を発射し続けた。
二人の密着した部分は、勇輔の放出したものでぬるぬるになっていた。
冬樹は身体を上下に擦り合わせながら、勇輔の唇に自分のそれを宛がった。
「冬樹ー」
口を離してにっこりと笑った冬樹の顔を見上げた勇輔の顔は真っ赤になっていた。
「気持ちよかった? 先輩」
勇輔はこくこくと頷いた。
「なんだか、かわいいね、先輩。想像してたのと違う」
勇輔は顔を背けて小さく言った。「うっせえよ……」
「先輩の出したの、温かい……温かくて気持ちいい」
冬樹はまた腹同士を擦りつけた。
「ちょ、あ、あんまり擦らねえでくれ、び、敏感になってて……」
冬樹はふふっと笑って動きを止め、下になった勇輔の背中に腕を潜り込ませ、ぎゅっと抱きしめた。
窓からの黄金色の日差しが二人を眩しく浮き上がらせていた。