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鍵盤に乗せたラブレター
【同性愛♂ 官能小説】

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本心-6

 うららは勇輔に目を向け、口角を上げた。「こんな時さ、エッチなアニメだと、兄が妹を慰めるためにベッドに押し倒して……、っていう流れになるんでしょ?」
「ばっ! な、なに言ってんだ、おまえ!」勇輔はにわかに真っ赤になった。
「兄貴いつもそんなの見てるんじゃないの?」
「み、見てねえし!」
「じゃあさ、今はどんな気分? あたしを押し倒して慰める気になってる?」

「い、今はならねえ」勇輔はぽつりと言った。

 うららはとっさに立ち上がり、後ずさった。「危なっ!」
 勇輔は上目遣いでうららを見た。「なんだよ……」
 うららは身構えながら言った。「そんな気になってたこともあった、ってこと?」
「言っただろ、オトコに調子に乗らせるなって。挑発的な行動はNGだって」勇輔は自分に言い聞かせるように言った。
「だって、あたし妹だよ?」
「そんなの関係あっか。オトコってのはな、欲情してっ時に、目の前にそれなりのメスがいたらヤっちまいてえ、って思うもんだ」
「……怖いね」
「覚えとけ。痛い目に遭う前にな」
 勇輔は缶の中身をごくごくと飲んだ。

 うららはさっきより少し距離を置いて、勇輔の隣に座り直した。
「で、『今は』そんな気にならないってことは、誰か好きな人でもいるの?」
「えっ?」勇輔は意表を突かれてうららを見た。
「こないだまで付き合ってた彼女と別れた後、新しく好きな人ができた、ってことなの?」
「ち、ちげーよ。そういう意味じゃなくてだな」
「じゃあどういう意味なんだよ」
「そ、それはだな」勇輔はまた顔を赤らめ、おろおろし始めた。しかしふと、うららの顔を見返して言った。「って、なんで俺が付き合ってた女と別れたこと、知ってんだよ、おまえ」
 うららは肩をすくめた。「兄貴自身の顔に書いてあるっての」
「か、顔に?」勇輔は自分の顔面を両手でなで回した。
 うららはいらいらしたように言った。「言葉や態度見てればわかるってことよ」
「そ、そうなんだ……」
 うららはまたにやりとして低い声で言った。
「あたしみたいなかわいい女の子を目の前にしても、今はときめかない、ってことなのかなー?」そして彼女は勇輔の顔を覗き込んだ。「他にときめいてる人がいるとか……」
 勇輔はごくりと唾を飲み込んだ。
「ま、いっか」うららは言って、大きなため息をついた。「ごめんね、兄貴、せっかく慰めに来てくれたのに、追い詰めるようなこと、言っちゃって」
 勇輔はほっとしたように肩から力を抜き、残っていたノンアル・ビールを飲み干した。

「さてと」まるで自分を勇気づけるように威勢良く言って、うららは立ち上がった。「あたし、宿題するから、兄貴は出てって」
 勇輔もゆっくりと立ち上がった。額に汗の粒が光っていた。
 うららはそんな兄を目を細めて見た。「ありがとうね、勇輔お兄ちゃん。あたしを慰めてくれて」
「『お兄ちゃん』? 何だよ、気持ちわりーな」勇輔も立ち上がった。
「随分気が晴れた。感謝するよ」
 勇輔はうららの部屋のドアを開けて、振り向いた。「ま、時間が経てばもっと回復すんじゃね? んじゃな」

 閉められたドアに目をやりながら、うららは小さく呟いた。
「なかなか素敵な『お兄ちゃん』だね、うん。ちょっと見直した」


 自分の部屋に戻った勇輔は、机に向かって、ノートパソコンを開いた。そしてブラウザを開き、密かにブックマークしていたあるサイトのタイトルをクリックした。
 それは男同士の恋愛小説が綴られているR18指定のサイトだった。

 勇輔は自分でもうすうす勘づいていた。数年前から自覚し始めた男性への興味。昨年度、三年生の先輩だった健太郎の水着姿を見るたび、心が熱くなっていたことを思い出していた。だが、今は違う男子のことが徒に気になっていた。

 『色白の病弱な男子を、日に焼けた、逞しい体つきのサッカー部の主将、タツヤが病室に訪ね、枕元に花束を置いた。そして起き上がったその男子を堅く抱きしめ、耳元で「レン、おまえが好きだ」と囁き、唇同士を重ねた。』

 文章を目で追う勇輔の顔が熱く火照り始めた。

 『いつしかベッドの上で全裸になった二人は、激しく口を重ね合いながら、脚を絡めていた。そして、タツヤがレンの脚を抱え上げ、その目を見つめた。「おまえと……一つになりたい」
 レンはこくんと頷いた。
 ゆっくりと、タツヤの太いペニスが、レンの花びらを押し開きながら、彼の身体に深く沈み込んでいった。
 レンは苦しそうな顔をして喘いでいたが、やがて、深いところで一つになったタツヤがその身体を包み込み、優しく抱きながら、頬を撫でた。「痛いか?」
「ううん。大丈夫だよ、タツヤ。僕の中に君の想いを送り込んで」
「わかった」
 タツヤは腰をゆっくりと動かし始めた。』

 勇輔の心拍数はかなり上昇していた。息も荒い。
 彼は自分のベッドから無駄に大きな枕を持ってきて、左手でぎゅっと抱き、ズボンと下着を下ろして、大きくなった自分の持ち物を二枚重ねのティッシュで包み込み、手で握った。

 『二人の身体が一緒になって大きく波打つ。病室のベッドがぎしぎしときしむ。タツヤは、レンの白い首筋に鼻を擦りつけ、息を荒くして匂いを嗅ぎながら叫んだ。「レン! レン! 俺、も、もうイく!」「イって! タツヤ! 僕も。あ、あああああーっ!」
 二人の身体がびくんと跳ね、タツヤは呻いた「ぐっ! ううううっ!」
 熱い想いがレンの体内に激しく注ぎ込まれるのと同時に、天を指していたレンのペニスからも勢いよく白い液が何度も迸った。』

 枕を抱きしめ、それに口と鼻を押しつけながら、勇輔はティッシュで包み込んだ自分のペニスを激しくしごき、すぐに絶頂を迎えた。
「ぐううっ!」
 そして彼は勢いよく射精を繰り返すのだった。


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