交神-2
「こら、何を…」
私は目をそらそうとしたが…
久方ぶりの女人の体に目が釘付けになり、なかなか思うようにならない。
しかも、娘の体は乳房の形も色も私の好みで、思わず触れてみたくなるほど艶かしい。
神として在って、これ程色欲に惑わされたのも生まれて始めてだ。
娘は、物欲しそうな目で私を見つめて声を発した。
「どうか…温めて…くださいませんか」
私は、その細い手首を掴んだ。
そして、私の懐へ引き寄せた。
「あっ」
小さく声を上げる娘の頬へ口づけ、髪の毛の香りをかいだ。
なんとも香しい花の香がした。そして、抱き抱えたまま胸の膨らみにそっと手を伸ばす。
柔らかい。
温かい。
「んっ…ぁっ」
娘がピクッと体を反らして悦びを露にする。
「国祖…さ…ま」
私は、手を止めた。思わず娘の顔を見つめる。
「今、なんとよんだ?」
「…国祖様と」
娘は、真っ直ぐ私を見つめ返して告げた。
「なぜ…」
「あなたをお慕いしておりました。私は…ずっと待っておりました。時を」
娘の凛とした表情に、私は、見覚えがあるような気がした。
「お前は…天照!?」
私は、思わずのけぞった。しかしながら、女の体を地に落とすわけにもいかず、天照を抱き抱えたまま驚きを隠せず動揺した。
「驚かせて申し訳もございません。でもお願いです。今は…このまま…」
「いやしかし…」
天照と言えば、今や日の本を治める最高神ではないか。何の目論見があってこのようなところへ…
「国祖様…」
天照は私の手を取った。そして、膨らみに当ててぎゅっと押し付ける。
「私は、今、産まねばなりませぬ。あなた様の小神(お子)を」
「それは…何ゆえか」
焦りが額に汗を滴らせる。
すると、なんとも言えない美しい悩ましい表情で、天照は告げた。
「愛です。愛ゆえに」