由美子の母孝行-6
指先に力を加えると、くるっくるっくるっとお小根が逃げる。
耀子は目を閉じ、軽く口を開いた。
「ふうううっ」
(お父さん、気持ちいいよ)
(そうそう、そこよ、そこが好いわ)
指は、適度なぬめりの中で、お小根、空割れと愛撫していく。
襖の向こうの息遣いが、ひときわ激しくなる。
「入れて」
(由美子の声だわ)
耀子は、お小根を摘まんだ。
ジュン・・快感が腹わたに染みていく。
(好いわよ、お父さん、とても好いわ)
(由美子も好きな人が出来て・・ほら、あの声が聞こえるでしょ)
二人の起こすリズミカルな振動が、畳を伝わってくる。
「ああああ・・博さんつつん・・凄く好いわ・・こんなに好いの初めてよ」
(お父さん、あたしも好くなってきたよ、そこんとこ、もう少し・・)
耀子の指がリズムを付けて、お小根を往復する。
「イッテイッテッ・・あたしもイクッ、一緒に、一緒に、ああッ・・死にっそうぅ」
(あの子も結構やるわね)
耀子は指を空割れに滑り込ませた。小陰唇がビラビラと指にまとわり付く。
(お父さん、最後の頃は中々立たなくて、入れるのに苦労したことがあったわね)
夫の性欲は最後まで衰えることはなかったが、歳とともに、気は焦っても男根が思うように言うことを利かなくなってきた。
「いくうううっ」
博と由美子のよがり声がひときわ跳ね上がると、静かになった。
(お父さん、あの子達上手くいったみたいだわ。あたしはいきそびれた・・)
7.
由美子は深い歓喜の波に沈み込んで、やがて徐々に浮上した。
気がつくと、博の腕の中にいた。
「博さん」
(好かったわ、死ぬかと思った)と言おうと思ったが、喉が詰まって声にならない。
(あたしって、かなり声を出したみたい)
由美子は隣の母が気に掛かった。
気にしなくていいよ、とは言われたが、すぐ隣の部屋で一部始終を聞かれていると思うと、平気でいられる筈がない。
(かわいそうなお母さん)
「博さん」
「うん」
「お願いが有るんだけど。嫌だったら嫌だといって」
「なにさ、そんなに難しいことかい」
「お母さん、抱いてくれない」
「ええっ」
「お母さんを抱いてあげて呉れない」
「抱くって、男としてかい」
「まあ、そうね。お母さんさっき冗談交じりに博さんに抱かれたいって言ったのよ。その時は冗談って聞き流したけど、考えてみるとこの先たいして楽しみが有るわけじゃあなし、あの世の土産にもう一度って気がしてきたの。勿論、あの年だから、本気であなたとセックスする気だとは思わないけど、あなたのお母さんと添い寝でもするつもりで、しばらく一緒の布団の中にいてくれれば気が済むと思うのよ」
「僕は構わないよ。君のお母さんだから、僕のおふくろさんでもあるわけだ。でもどうする、僕がお母さんの布団に潜り込んだら夜這いと間違えられるよ」
「ありがとう。本当にいいの。そしたらあたしが上手いこと言ってここへ来させるから、後はうまくやってくれる」
「ああ、いいよ」
由美子は布団を抜け出すと、耀子の部屋に入った。
「あらやだ、お母さん、私たちの盗み聞きしていたの」
「何もしなくても聞こえるよ、あれだけ大声出せば。隣の家に聞こえやしないかとひやひやしたよ」
「相変わらずなんだから」
「それよかお前、こんなとこにいていいのかい。博さんが寂しがるよ」
「うん、トイレに行くって出てきたの。お母さん博さんと寝たいって言ったでしょう、寝かせてあげるわ」
「どうやって」
「あたしの代わりに、知らん顔して博さんの布団に入って。真っ暗だし、親子で似ているから、わかりゃしないわよ。ばれたら寝ぼけたとか何とか言って誤魔化して。朝までに又、交代していればいいんだから、気が済んだら出てきて。あたしはここで待ってるわ」
ほんとに良いのかね・・とつぶやきながら、耀子はそれでも嬉しそうに出ていった。