キレイになってラブラブデート大作戦-4
「今日は旦那様とデートって天慈くんから聞いてたんだけど……」
「え、ええ、そうですが……」
「あなた、本当にその服でデートするつもりなの!?」
ん、私、ダメ出しされてる?
自分のカッコをまんじりと眺めていると、彼のゴツい指が私のワンピースを指差した。
「もう、なんなのそのワンピ! 下品な露出なんてしないでよ! キャバ嬢でも着ないわよ、そんなの!」
「へ?」
ポカンと口を開けた私は、なぜこんなに責められているのか分からない。
だって、男の人ってセクシーなカッコが好きなんだよね?
だから胸元開けて、脚もなるべく出して頑張ったのに……。
「あ、でもカーディガン持ってきてるし……」
露出がダメなら、カーディガンを羽織れば問題ないでしょ?
首を傾げる私に、天童さんは深い深いため息。
「……そのニットカーディガンと赤いサンダル。バランスが悪い! ってか、素材がちぐはぐなのよ。サテンのワンピにニット、エナメルのサンダルに、ストロー素材のバッグって……カッコがうるさい!」
ズバッと問題点を指摘されて私は、ビクッと身体が硬直した。
結構辛辣な言葉をぶつけられてショック、ってのはもちろんある。
でも、理由はそれだけじゃない。
むしろ硬直してしまった本当の理由は……。
「んもうっ、こんなコーディネートじゃアタシのヘアメイクも全然活きないわっ!」
ワイルドなイケメンが、顎の下で両拳を作る「昔のぶりっこポーズ」を取りながら、プンプン怒る異様な光景にすっかり飲み込まれてしまったのだ。
そして、心の中でポツリ。
……天慈くんはこの人の影響を受けたのだろうか。