一筋の光-6
「……不思議なモノだな、つい最近出会った赤の他人に、ここまで言われるなんて。」
「坂本…サン。」
庭で、この世の物とは思えないほど、心が激しく締め付けられる。お願いっ!
「あいつも、真理子も…、思ったのかな?死に際に、「私の臓器を、誰かの為に使ってあげって」って…。」
「……それは、解りません…でもっ!思ったいや願った筈です、坂本サンの思う心優しい娘サンであれば…。」
「!!…。」
葛藤する彼、そして。
「娘も、喜ぶだろう…、人の為に役に立つのであれば。」
「!それじゃー。」
心が一気に舞い上がる、坂本サンは瞳を赤く染め、瞬き一つせず、絆を見つめ、がっしりと肩を掴み。
「君は生き続けろっ!そして彼女と幸せな人生を歩むんだっ!!」
「っ!!……。」
聞き間違いじゃない、これは、これは……。
喉を枯らすほど激しい声で、鳴りやまないと思う程、何度も何度も頭を下げ、感謝の言葉を述べる絆。
臓器が提供される?
願っていたとはいえ、まるで想像もつかなかった現実。
彼は、助かる?
退院して、二十歳を過ぎても死ぬ事なく、他の人と同じように生き続けれる?
あぁ…あぁーー、夢じゃない、夢じゃないんだ。
神様、本当にありがとう……。
この時の私は、生きていてこれ以上に無い程の幸福を感じた。
これで、彼は助かる……
…………
ハズダッタ……。
次回、23話へ続く。