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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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一筋の光-5

「……ここ、だよね?」

視線の先に坂本…、の威厳味溢れる表札が。私は、担当の看護師サンから事情を話して適合者の遺族である坂本サンの住所を教えて貰い、メモをひたすら睨み、病院付近以外知らない場所へ足を運んだ。見るも似たような一軒家ばかりで、探すのは本当苦労した。

でも、本当にここが坂本サン、絆を救う治療薬を持った彼の家なんだろうか?苗字が同じだけでは?でも住所からすると、恐らく…。

そんな不安を募り、坂本サンの家と思しき窓を眺めていると…。

「お願いしますっ!!」
「!?」

聞き覚えのある叫び声、窓の向こうから特徴のある曲がった髪の影が目に映り。

絆…。

悪いと解りつつ、土足で庭へ侵入する、坂本サンがちょっと気の毒に見えてきた。

「しつこいなっ君も!ダメなものはダメだって、昨日言っただろ!」

やっぱり、彼は昨日の話をしに…。

「大事な娘サンの形見で、手放したくない気持ちは解ります!でも、それを何時までも持ち続けたって意味がないじゃないですかっ!」
「なっ、君まで…。」
「多くは言いません、お願いです!臓器を、生きるための治療薬を、どうかっ!僕にくださいっ!坂本サンっ!」
「君……。」

窓から見えるシルエットから、土下座のようなポーズが目に映る、これって…。

「……仮に臓器を提供したって、それで治るとは限らないよ、それにお金だって掛かる、
こんな所まで病人がきて、そこまでして生きたいのかっ?」

一応、医者からは許可は貰ってる、ただ病人だから強く引き留めはしたが。

「はいっ!」
「何故だ?大概君のような病人は人生に絶望する、テレビではたまにいる前向きな人を映しただけだ。」
「…確かに僕も、最初は絶望してました。もうお終いだ、生きていても仕方がない、まだ
病死もしてないのに、道路に突っ込んだ事もありました!」
「っ……。」
「でも…、不意に思ったんです、もし僕が死んだら、周りの人はどう思うんだろなぁーって、僕を生み今まで育ててくれた愛おしい家族、こんな僕何かを支えてくれたかけがえのない友人…。」
「……。」
「そりゃー人は死んだ後、天国へ行きます、残された者を見続ける…、そんなものは迷信です、死んだら何も残りません…でもっ!死を直前に思うでしょう、残された愛おしい人の事を…。僕には大切な人が居ます、ゲンキンで時よりうるさいけど、こんな臆病な僕を認め愛してくれる人が…。」

それって…。

「僕は彼女が大好きですっ!世界中の誰よりも…、あの太陽に明るい笑顔に何度救われた事か…。でも、僕が死んだら彼女はどうなる?彼女の事だから明るく気性に振舞うだろう
彼女を残し一人この世を去っていった軟弱な男何か忘れようと、それが愛した男への最高の行動だと…、でもっ!忘れられないんですっ、どんなに忘れようとしても、出来ないんです、思い出したって苦しいだけだって解ってるのに、何故だか解ります?生きてるんですよ!彼女の中で、何時までもいつまでずっとずぅーと永遠に。」
「………。」
「そんなのは嫌だ、このまま運命を簡単に受け入れ死ぬなんて、そんな事をしたら僕は一生自分自身を恨み続ける、僕の大好きな彼女の笑顔を護り続けれるのは他でもない僕自身の存在なのだから…。僕は生き続ける、何が何でも!そして彼女を、世界で一番大好きな彼女を、お婆さんになってもずっと笑顔で幸せにしてあげたいんですっ!」

私は、私は……。

私の知らない彼が居る。

「長谷川…クン。」
「坂本サン、ここまで言ってもまだ、臓器を手放す気はありませんか?」
「それは…。」
「だったら、貴方を縛りつけて勝手に臓器提供の書類にサインを書くなり、別れた奥さんを探し出して誘拐し、彼女の命と引き換えに脅迫するなりしますっ!」
「なっ!」
「悪い事なのは解ってます、こんな事したら彼女に怒られるだろう…、でもっ!」


人間って言うのは、本気で大切に想ってる人の為なら例えそれが許される行為ではなくても、迷う事なく行動に移すものですっ!!


「!!っ」
「……どうします?出来る事なら僕も穏便に済ませたいです、それと…僕の中で臓器を頂けない…と言う結末は全く考えておりませんので…。」
「……。」

どうしょう、このままじゃ彼が、彼を止めないと。

彼を止める?止めてどうする?

絆の話は正しい、一寸も狂いもないくらい。

恋人の犯行を止めたい私。恋人に生き続けて欲しいと願う私…。

二つの想いが激しくぶつかり合い、どうしていいのか判らず。

「……。」
「スミマセン、こんなに困らせて、ですが他に方法がありません。」
「………。」

これ以上にないくらい重たい空気がずっしりと二人に圧し掛かる。坂本サンは目の前で狂気にも満ち溢れた顔で犯罪を犯す危険性もある少年を目の前に、頑なに口を閉じ。

「…………はぁーーーーーーーー。」
「!!」

深く長い溜息、呆れにも取れる返答。まさか……。





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