ブバルディア-5
華燭さんお願いしまーす
と、呼ばれて立ち上がる。
肘まである長い手袋をはめ、用意されていた小花のブーケを持ち、ヒールが少し高い白いエナメルにブーケの小花と同じ花の飾りが着いた靴を履いて裾を引き上げ呼びにきたスタッフに後ろを持って貰って部屋を出る。
来たときとは違う通路を通って外へ出る。
外には他のメンバーも正装をして待っていた。
「おはようございまーす」
ペコリと頭を下げるとメンバーの後ろで作業をしているスタッフも手を止めて私をみた。
小さな歓声が上がる。
「良いじゃん」
雨水が歩いてきて扉の前までエスコートしてくれた。
「あれ?……暁は?」
辺りを見回してもその姿は見えず、首を傾げていると雨水は答えずにその場を離れた。
元の位置まで戻ろうとしてふと立ち止まりこちらを見る。
「言い忘れてたんだけど、今回は一発撮りでノーカットで行くから。もちろん後から編集はするけどね」
よく分からずでも雨水には何か考えがあるんだろうと頷いた。
「さ、いこうか」
雨水の一言で現場が動き始める。
カウントが始まりカメラが回り始めた。