ブバルディア-4
衣装を身に纏い冠を被りヴェールを下ろすと自分でも驚くほど花嫁になった。
メイクさんに手伝ってもらい椅子に座ってスタッフが予備に来るのを待つ。
メイクさんが出て行くと部屋はしんっと静まりかえりハンドバッグをたぐり寄せて携帯を出した。
春風に連絡しようかと思って画面に触れるが手を止める。
春風にはもう１０日ほど会ってなかった。
一緒に暮らしているはずなのに、なんだ缶詰になってるらしく電話をしても繋がらない。
家に帰ってきてるのかどうかも分からなかった。
「今日は会えるんだよね？」
んーっと悩む。画面を操作し雨水にメールを送る。
すぐに返事が返ってきて当たり前じゃんとだけ書いてあった。
「春、驚くかな」
鏡を見てにまにまと笑う。
こんな時この仕事をしていて良かったと本当に思うのだ。