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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館番外編〜始まり〜-11

『………何故………何故………』
一人残されたナインツは壊れたように呟いていた。
『何故貴方は私の側から離れる………何故エルフなど………何故………何故………』
コンコンと、ドアがノックされた。
騎士が一人入ってきて、跪く。
『陛下、例のエルフが改宗をしました。』
『………何!?』
『六英雄、アルクウェル=ルーキデモデンナ様の治療で回復した後、すぐに改宗を認めたそうです。』
ナインツは驚き立ち上がったが、すぐに表情を戻して側に置いてあった剣を手に取った。
『お前の忠誠は真か?』
『はっ! もちろんであります。
この命に変えても陛下の命を守ります。』
『よろしい………では、この剣を授ける。
………魔女の首を取って参れ。』
今度は騎士が驚いた。
『………陛下、お言葉ながら、あのエルフは改宗をしました。 もう魔女ではありません。
魔女や、敵を斬れとあれば躊躇は致しませんが、相手は女性………騎士道に反します。』
『あの女は魔女だ! やつはウェザを誘惑したのだ。 躊躇うな、正義は我々にある。』
剣を取るよう騎士に促す。 騎士はまだためらいが残るが、剣を取った。
『………王国のために………』
『うむ………そうだ、首はウェザの屋敷に届けよ。
やつの首を見れば、ウェザも正気に戻るだろう。』
騎士は頷くと部屋を出て行った。
『これで良い………これで兄上はまた私の元に戻ってきてくれる………私の元に………』


久しぶりの我が家だった。
最後に帰ったのは………半年くらい前だろうか?
だが、以前と変わらないくらい綺麗に手入れされている屋敷が私を迎えてくれた。
『皆がちゃんとやってくれているんだな………』
馬車が屋敷の前に着き、降りたが誰も出てこない。
まぁ、連絡を入れてなかったから仕方ない。
扉を開けて中に入ろうとする。
ガチャン―――
閉まっていた………
ガチャンガチャン―――
『………お〜い、誰か居ないのかい?』
ノックを数回して、暫く待つと中から声が聞こえてきた。
『押し売りならお断りやで〜〜〜
でもイケメンさんならいらっしゃ〜い♪』
久しぶりに聞いたヤナコッタ弁だ。
『料理長、私だ。 ウェザだ。』
名を名乗ると途端にドガシャンと何かがぶつかる音がして、数秒遅れてドアが開いた。
『だ、旦那様?』
『やぁ、久しぶりだね。』
恥ずかしそうにドアの影から私を見つめるのは料理長のフィナ=エル=バーグ、23歳、既婚、だ。
『わっわっ! 旦那様〜、どこ行ってたん〜?
うちもう心配で心配で〜』
目を輝かせて私を見るフィナを伴って屋敷に入った。
ただ、私はちゃんと王宮で泊まると言っておいたはずなのだが。
『うん、中もそのまま♪ 私の居ない間良くやってくれたね。』
『はいな〜♪ いややわ〜♪ そない誉めんといて〜♪』
キャッキャッはしゃぐフィナ=エル=バーグ23歳既婚二児の母。
料理の腕は超一流だが、この変わった言葉遣いのせいでどこの貴族も彼女を雇わなかったのを、私がちゃっかり安い賃金で雇ったのだった。
『料理長、部屋一人分余ってるかな?
ちょっと女性が一人来るのだけど。』
『あら、旦那様、久々に帰ってきたと思ったら女付きなん?
ややわぁ、旦那様も隅におけんわぁ♪』
ベシベシと私の背中を叩きながら二階に向かうフィナ、あの様子からするとOKのようだ。
『お〜い、それ、あと三人追加してくれよ。』
見ると屋敷にキシン達が入ってきた。
そして、キシンの腕にはシャルナが抱かれている。


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