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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館番外編〜始まり〜-12

私はキシンに駆け寄り、シャルナを渡してもらった。
『シャルナ………』
シャルナは先程のようなグッタリとした様子は無く、眠っているようだ。
『大丈夫よ、ちゃんと治したから。
内臓も、砕けていた骨も。』
あぁ、良い汗かいた、と額を拭うアルクウェル。
本当に………アルクウェルが居なかったら助からなかったかも知れない。
『ありがとう、アルクウェル………』
『フフ、何言ってるのよ。 仲間でしょ♪ 五英雄♪』
明らかに一人抜けてる。
キシン………可哀想に………
『キシンも、ありがとう。
君がアルクウェルを呼んできてくれたから助かったよ。』
『へっ、良いってことさ♪』
そして、そんな二人の後ろにもう一人………
長い黒髪、褐色の肌をした女性、もちろん私の知り合いだ。
『よ、ヨウヤチネ!』
ヨウヤチネの見た目は普通の女性だが、頭に二本の角がある。
そして今は隠しているが翼もあるのだ。
豊満な胸とくびれたウエストと大きめなお尻。 言わばボン・キュ・ボンな体型をしている。
彼女は悪魔、それも淫魔の女性。
ヨウヤチネ=ヨルネ=イムネ。
本来人間の敵である悪魔が何故味方かというと………
いろいろあったのだ、いろいろ………
『………何遠い目してるんだ?』
『い、いや、なんでもない。』
ヨウヤチネは立ったまま動いていない。
そっと彼女に近付くとその理由がわかる。
『………ク〜〜………ク〜〜〜………』
立ったまま熟睡中。
ヨウヤチネはこの通り、一日の大半を寝て過ごす。 それ故とても人畜無害な悪魔なのだ。
『………ふぁ?』
パチリと目が開き、ヨウヤチネの漆黒の瞳が私を見つめる。
『あ〜〜〜ウェザだぁ〜〜〜♪』
外見は冷静でキリッとした彼女から間伸びした声が出た。
『やぁヨウヤチネ。』
『………ク〜〜〜』
駄目だ………覚醒までまだまだかかりそう。
仕方なくヨウヤチネはメイド達に頼んでベットに運んで貰った。
『旦那様〜、ベットの用意出来たで〜〜』
二階からフィナの声が聞こえてきた。 皆と話したいがまずはシャルナを休ませないと………
皆を一旦食堂に案内して、二階に上がっていく。
二階の一室でフィナが手招きをしていた。 簡素な部屋だが、清潔なベットが置かれていたのでそこにシャルナを寝かせる。
『この人はうちが看病するさかい、旦那様は下で応対お願いしますわ。』
シャルナの頭を少しの間撫でていると、フィナに追い出されてしまった………
『着替えもしますんで、旦那様は出てってや。』
バタンとドアが閉められ、結局私は食堂へ向かった。
食堂ではまっっったく会話が無い状態だった。
相変わらず仲が悪い………いや、一方的に嫌いなのか。
『二人供、本当にありがとう。』
『だから、仲間のためよ。 それに、いつも女に興味無し! なウェザが好きになった人なら一度話をしてみたかったからね。
それよりウェザ、ナインツは本気であの子を殺す気だったわよ。』
『………そうなのだろうか?』
確かに、現にシャルナは死にかけた。 だが、ナインツが本気で殺すなら拷問でゆっくりとやらずに、すぐに殺してしまうはずだ。
それに、馬車も。
あの程度なら私が直ぐに帰ってくることが可能だ。 魔法壁で馬車のドアを守ることもしていなかったし。 御者はただ馬を操るだけで、私の邪魔はしてこなかった。
『………ナインツのやつ、無意識のうちに手を抜いたのかもな………
だけど、あいつはシャルナさんを殺す騎士をよこしたぜ。
ただ、そいつが意外と良いやつでな、王の命令でもか弱い女性を斬ることは出来ないって泣きついてきてな。』
『それで私と、たまたま近くに居たヨウヤチネの連名で処刑に反対する書類を書いて渡してあげたの。』
キシンがパタリとテーブルにへたれこむ。


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