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揺らぐ
【SM 官能小説】

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揺らぐ-3

私は歯を噛み合わせ、なぜか「耐え難いほどの痛み」に対して抵抗を示している。

「声をあげても構いません。
耐えられなければ、すぐに中止します。」


「あうっ!…あぁっ!…」

声に出してみた。
口を閉ざせば痛みは心の中に根深く刻まれる。
擦れ合う肌とロープの間に汗を感じる。
背中を反らして痛みを受け止めるたびに肌に食い込むロープはぎしりと軋み、その細い傷痕は心の中の苛立ちという混乱を切り刻んでいくような気がした。

… … … …

背中やお尻につけられた冷たい傷痕はやがて熱く火照り、宙吊りになった体はゆっくりと揺れる。

汗びっしょりだけど、火照る痛みが心地よく感じる…
このテの性癖を持つ者たちの感情が今の私には分かるような気がした。

背中を向けて身体を庇うのと同じように、身体を差し出して何か大切なものを守ろうとするような意識が交錯したように思う。

心の闇と向き合うとはそういう事に似ているのかも知れないと思う。
そこには裸になった私がロープを軋ませながら、静かに揺れていた。


「緊縛が少し弛んだようです。
安全のため、ここで一度緊縛を直しますが止めますか?」

「続けて…続けてください…」

お尻からゆっくりと地に下ろされて、また幾人かの手によってロープが弛められた。
手足が紐解かれ、今度は代わりに腕を高く束ね合わせて立った姿勢になる。
身体を包む緊縛はそのままだったが幾つもの箇所を丁寧に結び直し、点検して再び爪先立ちで吊り上げられる。


「苦しくないですか?」

「はい…」

両足首は硬い棒のようなもので固定されている。
股を閉じてしまえないようにしてあるのだろう。


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