Purple wedding-6
ルールーとワッカの婚約、そして結婚式という流れの中で、
キッパの中でどす黒い欲望が沸々とたぎるようになっていた。
自分の遠慮から獲物を横合いから“かっさらわれた”ような気持ちである。
そんな彼の内面の変化に気づくこともなく、
ルールーはワッカとの結婚式の準備を進めていた。
日程や式場、参列して欲しい人の選別と招待状送付。
更には結婚後の新婚旅行や新居等、これらの細々した事項についてはワッカよりも寧ろルールーの方が主導して進めていた。
彼女に比べワッカの性格がこうした細かい仕事には向いていないということもあるのだが。
キッパのところにも結婚式の招待状が届き、そこには当然ながら日時や場所がはっきりと記されてあった。
その招待状の文面をまじまじと凝視しながら、
キッパの気持ちは既に結婚式当日に飛んでいた。
そんな彼の脳裏に浮かび上がるのは、
彼の欲望を実際の行動として具現化した妄想だった。
それは明らかに犯罪だと言われてもおかしくない光景だった。
しかしキッパ自身にはワッカに先を越されたことに対しての焦りもあり、
一切のためらいや迷い更には罪悪感すらなく脳裏の情景を一種の“予行演習”に見立てていた。
そして彼が待ち望んでいた“その日”がやってくるのである―――――――
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