夜のサービス-6
積極的な瀬奈に何も出来ない海斗だが、背中にピタリと体を密着させてくる瀬奈にある事を感じる。
「ん…?震えてるの…?」
瀬奈の体が震えている事に気づいた。海斗は振り向き瀬奈と対面する。
「あ…バレちゃった…?」
海斗はまた的外れな事を言ってしまう。
「エアコン、寒いか??適温のはずだけど…。」
「ちがーう!」
至って真面目に答えている事はもはや瀬奈は分かるようになっていた。何となくそんな事を言いそうな気はしていた。
「じゃ何で…?まさか緊張?」
いきなり全裸になる瀬奈だ。まさか緊張しているなど思いもしていなかった。瀬奈は少し間を置いて言った。
「…私だって…そりゃあ怖いよ…。海斗はいい人で人を騙すような人じゃないっていうのは分かる。分かるけど、でもやっぱり…。今日逢ったばかりの初めての人だもん…」
海斗は瀬奈の女の子らしさを感じた。しかしがさつな海斗。言い方を変えれば素直な言葉が口から出る。
「お前、度胸あるんだなー!そんな怖くてもいきなり全裸になって誘ってくるなんて!」
「こうでもしなきゃ踏ん切りつかないって思ったんだもん。でも、嫌な訳じゃないんだよ??私の気持ちの問題。」
「そっか。俺にもっと経験があればお前をリードしてすんなり行ったのかもしれないな。」
「そんな事ないよ!私は慣れてない人の方が好き。」
「魚経験なら誰にも負けないんだけどな。」
苦笑いした海斗。そんな海斗に瀬奈が言った。
「何か…初体験の時みたいな雰囲気だね。」
「あ、俺さ、昔から釣りしかしてなかったから初体験はソープだったんだ。アハハ!」
「え〜!?でも彼女とか…」
「いた事ないね。彼女いない歴はすなわち歳の数だよ。」
「嘘〜!?本当??」
「ああ。いなくて不自由した事なかったし。したくなればデリ呼べばいいし。」
「そうなんだ…」
瀬奈は逆に恋愛駆け引きを知らない海斗だからこそ女性の気を引く事など考えずに本音を口にしてくるのだと思った。その本音が心地いい。海斗と会話していて気持ちがいいのは常に本音で話してくるからなんだと気付いた。
「ま、いわゆる素人童貞だな!アハハ」
「素人童貞って??」
「風俗嬢以外経験がないってことだよ。」
「じゃあ素人は私が初めての相手??」
「ああ。お前が本当に素人ならな!」
「あ、酷〜い!れっきとした素人ですから。」
そう言った瀬奈の体はいつの間にか震えが止まっていた。