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逃亡
【その他 官能小説】

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逃亡-28

「他の諸君も触りたくなってきたんじゃないかね?」
 桜田が瑞紀の身体を愛撫する様子を見せつけられ、男性客たちの間に、最初にためらったのとは違う空気が流れている。
「俺も触っていいか?」
「ああ、いいとも。」
 最初に言い出したのは、作業服姿でエロ雑誌の立ち読みをしていた青年だった。
 緋村の了解を得ると、青年は瑞紀の背後に回り、さっきまで桜田が揉みしだいていた乳房に手を伸ばした。それに、レジの前にいた中年のサラリーマン風の客が続き、工員風の男と左右の乳房を分け合って揉み始めた。後は雪崩のように、店にいた客たちが次々と瑞紀の身体に殺到し、何本もの手がその柔肌を這い回った。ふと桜田が見ると、アルバイトの今井が足下にしゃがみ込んで、美しい曲線を示す脹ら脛を撫でていた。
「い、いやぁ!もうやめてくださいっ!」
 さすがに瑞紀が全身を強張らせて、悲鳴をあげた。しかし、誰も愛撫の手を緩めようとしない。美しい双乳をすくいあげては揉みつぶし、乳首をこねくりまわし、陰裂に指を入れて掻き回していく。
 群をなす肉食獣が、獲物に群がるような光景を、緋村は楽しげに眺めていた。
「はうっ!」
 誰かの指が敏感な肉芽の鞘を剥いた。赤く膨らんだクリトリスを撫で、指先でこねくりまわす。激しい快感が沸き上がり、全身がビクッと震えた。その間も、荒い息が首筋や胸元にかかり、じっとり汗ばんだ掌が無防備な身体を徘徊している。
「はぁ、はぁ、はァ…」
 瑞紀の呼吸がせわしなく乱れてきた。全身に玉のような汗が浮かび、ピンク色に上気してくる。男たちに寄ってたかって嬲られ、鳥肌が立つほどの嫌悪感を感じているはずなのに、刺激に反応してしまう自分の身体が瑞紀には信じられなかった。
「ああゥゥ…はぁッ、はッ…」
 桜田の指がクリトリスを撫でていく。泣くような喘ぎ声が、次々に瑞紀の喉からあふれ出てくる。
「ン、ン、ン、ん、んーっ!…」
 ガクンと頭を後ろに投げ出し、いっぱいに反らした白い喉がうめき声に合わせて震える。とうとう、瑞紀は昇りつめてしまったのだ。男達が手を放すと、床に額を押しつけて丸くなり、余韻の波を堪えるように背中を震わせている。
「一、二、三…、十」
 緋村は、瑞紀の身体に群がっていた男の数を数えた。
「ちょうど十人か。これじゃあ、むしろお金をもらわないといけないな。」
 そう言うと、レジの中に入り、一万円札を数枚掴んで出てきた。その行動を見ても、もはや誰も何も言えなくなっていた。
桜田も呆けたような顔で瑞紀の白い背中を見つめていた。
 その背中が引きずられるようにして立ち上がる。
「それじゃあ、このあたりで失礼しよう。」
 瑞紀の腕を掴み、段ボール箱を抱えた緋村は、堂々と店を出ていった。


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