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逃亡
【その他 官能小説】

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逃亡-22

林はどうしていいのかわからないまま、助手席に声をかけた。
「あ、あの…」
 窓に近づくと、バイブが発するブーンというモーター音と、女の身悶えする声が生々しく聞こえた。林は言うべき言葉が見いだせないまま、決められた台詞に逃げ込んだ。
「吸い殻、いいですか?」
「ああ、お願いするよ。ただし、もうちょっと見てからでいいぞ。これからが面白いところだからな。」
 そう言いながら、男はバイブの亀頭をぐいっと力強くねじ込んだ。いやらしいバイブがクネクネと性感帯を責めているらしい。女は苦悶の表情を浮かべ、必死で堪えようとしているものの、堪え切れずに小さな喘ぎ声をもらしている。
 その時になって林は、二人が誰であるかに思い当たった。数時間前からたいへんな話題になっている釈放されたテロリストと婦人警官に違いない。午後からずっとバイトに追われていた彼はテレビを見ていなかったが、来るお客、来るお客、話をすることといったら、そればかりである。しかし、彼がラジオのスイッチを入れた時は、すでに中継は終わっており、評論家と称する連中が、いろいろと事件経過の分析をしており、つまらなかったのですぐに音楽番組に切り替えたのだった。
(そう言えば、婦人警官はミスコンにも優勝したことのある美人だって言っていたな。)
 そして今、目の前でバイブに翻弄されている全裸の女は、彼の想像を上回る美女だった。しかも、漠然と予想していたのと違って、「整った」というよりも「可愛い」顔立ちで、林の好みとバッチリ合っている。
 ラジオで聞いた名前も思い出した。テロリストの名前は緋村一輝、そして、彼女は早瀬瑞紀だ!
「くふぅ…、んんっ、」
 感じている姿を見せたくないのだろう、瑞紀は声が洩れるのを必死で抑えようとしているが、もはや我慢も限界に来ているようだ。噛みしめた唇がほつれ、くぐもった喘ぎがもれてしまう。
「どうだ。気持ちいいだろう。」
 緋村が冷やかすように大声で言い、濡れそぼった秘花の中でバイブを激しく動かした。亀頭をくわえこんだ肉孔から、小さな突起がびっしり生えた胴の部分が出たり入ったりしている。
「ああん…、あぁ…、あぁ…」
 瑞紀はとうとうよがり声をあげ始めた。目の縁を紅く染め、バイブのうねりに合わせてヒップを振りながら喘いでいる。
 その艶めかしさに、林は作業用のつなぎの中で既に勃起しているモノが、痛いほど硬くなるのを感じた。
「も…、もうやめて…」
 瑞紀は息も絶え絶えになって哀願するが、緋村の悪戯はエスカレートする一方だった。バイブを持っていない方の指で包皮をめくると、敏感な芽を人差し指でクリクリと転がしていく。
「あぁっ…、あぁっ…、あぁぁ…」
 喘ぎ声とともに、みるみるうちに肉芽がルビーのように充血してくる。緋村はクリトリス用の突起をそこに触れさせた。バイブがジジジ…と音を発して、女のもっとも敏感な部分を刺激してくる。
「ああっ…、そこ、だめっ!」
 あまりに激しい刺激に、瑞紀は思わず悲鳴をあげた。
 緋村がニヤリと笑って林を見た。その一瞬で、林は正気に返った。
(そうだ、警察に通報しなきゃ!)
 今、スタンドにいるのは林だけだ。通報するためには、とりあえず事務室に入ることだ。
「あっ、吸い殻、捨ててきます。」
 しかしその時、ガチャッと音を立てて、運転席のドアが開い
た。
「待った。吸い殻はもういい。警察に通報されても面倒なのでね。」
「あっ…」
 考えを読まれたような格好になった林は言葉を無くした。
「それより、君もやってみたまえ。」
 緋村が林の手を掴んで、瑞紀の股間に導く。黒いバイブが嵌められている陰裂が丸見えになっている。
「アウッ…、あ、あああ…」
 瑞紀は頬を真っ赤に染めて目を閉じ、愛らしい唇から切なそうな声をあげている。シートの合成レザーには陰部から溢れる蜜が水たまりを作っているのが見えた。
 それが、男の本能に火を点けた。林は思わず瑞紀の性器に埋まっているバイブを握りしめた。少し動かしてみると、クチュッという音がして、ヌルッとした手応えがあった。
 触ってみたいという欲望のままに、林はバイブが嵌まった膣口に指先を這わせた。バイブが瑞紀の胎内で激しく振動しているのがわかる。そのまま、めくれた肉襞をなぞり、合わせ目でプックリ赤く膨らんでいる肉芽をくすぐった。
「あんっ!」
 太腿の内側がブルブルと震え、タラタラと蜜が垂れてシートを汚す。
「見てみたまえ、この女、イキそうになってるんだよ。」
 そう言う緋村の声が、自分の中から聞こえてきたような気がした。もはや自分も共犯なんだ、ふとそんな思いが心の片隅に浮かぶ。
 緋村は揺れ動く瑞紀の乳房を掴んで揉んでいた。時折、固く勃起している乳首を摘んでクニュクニュといじっては、刺激を与えている。
 林は緋村と息を合わせるように、夢中でバイブを抽送して膣肉を犯していった。ねじ込まれるたびに、瑞紀のすすり泣くような声のピッチが上がっていく。
「あうッ、あン、ううゥゥ…」
「そら、そら、イッていいぞ!」
 そう叫んだのは、緋村だったのか、自分だったのか、もはや林にはわからなかった。
「あん、あん!」
 激しいピストン運動に、瑞紀は体を弓のように反らせながら、せっぱ詰まった悶え声をあげていく。
「うくっ…、あひぃ!」
 開いた下肢が小刻みに波打ち、ついに瑞紀はアクメを迎えた。
 ガソリンはとっくに満タンになっている。放心状態にある林の目の前で、車のドアが音を立てて閉まった。
「よし、じゃあ瑞紀、出発しよう。」
 緋村の声とともにセダンが動き出した。バイブは瑞紀の陰裂に挿入されたままだった。


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