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逃亡
【その他 官能小説】

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逃亡-21

第3章



 幸いだったのは、警視総監がガチガチの「お役人」でなかったことだ。
 野上はすぐに東京に呼び戻され、緋村たちを追跡するチームに組み込まれた。しかも、相棒はPFFT対策本部に配置換えになった西岡である。
 それでも、既に緋村が逃亡を始めた日から三日が経っていた。
「PFFT指導者の緋村一輝と連れ去られた早瀬瑞紀警部補の行方は、今日になってもわかっておりません。」
 カーラジオがニュースを報じている。
 取材陣に紛れての追跡は高坂サービスエリアで断念せざるをえなかったものの、瑞紀が全裸のまま連れ回されていることもあって、逃亡の日と翌日ぐらいまでは、かなりはっきりした目撃情報が捜査本部に次々に飛び込んできていた。ところが、警察がその場に急行する度に、タッチの差で緋村たちの車は消えてしまっている。それはまるで、警察の動きが逐一知られ、翻弄されているかのようだった。しかも、昨日になってからは全く情報が入らなくなってしまったのだ。
「まあ、俺が悪い頭を抱え込んでても時間のムダだな。よし、とにかく足でかせぐか。」
 そう決断を下すと、野上は西岡を連れて、緋村の車が逃亡したとおりの経路を、目撃情報をたどりながら走ることにしたのである。
「森橋法務大臣は、今日の記者会見で、今回の事件を契機に政治団体に対する規制を強化する必要があるとの認識を示しました。」
 続いて、ラジオからは法務大臣のインタビューが流れていた。
「俺、親父が新潟なんですけど。この法務大臣って、新潟弁丸出しなんですよね。」
 ハンドルを握る西岡が言うのに対して、野上は「ああ…」と生返事で答えた。どうやら西岡は手足に徹するつもりで、考えることは野上に任せきっているようだ。
 緋村たちの車は湯沢インターチェンジで関越自動車道を下りたことがわかっている。冬になるとスキー客で賑わうあたりだ。
 しばらく行くと、ガソリンスタンドが見えた。ウインカーを出すと、赤いつなぎの制服を着た若者が手を振って、野上たちの車を誘導してくれた。
 緋村たちの車はこのスタンドで給油しているのだ。

 秋の夕日が沈んで、あたりが薄暗くなって来た頃、ガソリンスタンドのアルバイト林真一郎は一人、ホースで洗車の泡を洗い流していた。スキーシーズンにはまだ少し間があり、スタンドに入ってくる車はそう多くなかった。
 林が道路に目をやった時、一台の白いセダンが入ってきた。
「オーライ、オーライ!」
 給油機の前までセダンを誘導して、運転席を見た林は言葉を失った。
 運転席には、アイドル女優のような若い女性が乗っていた。もし普通に乗っていても目を奪われるような美人だったが、なんと全裸で乗っていたのだ。林が言葉を失うのも無理はない。
 ハンドルを持つ手につながる白くなだらかな肩のライン、形のいい胸の膨らみとピンク色の可憐な乳首、太腿の間に淡い繊毛が三角形の薄い翳りをつくっていた。
 どう声をかけていいのかわからず、ボーッと見とれていると、横からにゅっと大きな手が伸びてきて、いきなり女の美しい乳房を揉みしだく。
「満タン入れてくれ。」
 助手席の男に言われて、ハッと林の呪縛が解けた。その時になって初めて、男の存在に気が付いた。頭の良さそうな、それでいて、どことなく冷酷で物騒な雰囲気を感じさせる男だ。
 ガソリンタンクを開けて、給油する。車内をチラチラ見ると、男がなおも女の乳房を弄んでいるのが目に入った。柔らかな隆起を掴み、しこった乳首をコリコリ指先で転がしている。
 満タンになるまでの間を使って、林はサービスでフロントガラスを拭き始めた。
 ふいに助手席の男がフロントガラスをトントンと叩いて、ニヤリと林に笑いかけ、続いて全裸の美女の耳元で何か囁いた。
 女は目を閉じ、下唇を噛んで耐え忍ぶような表情を浮かべたかと思うと、両膝を少しずつ広げていく。
 林の目は女の股間に釘付けになった。フロントグラスを拭く手も完全に止まってしまっている。絨毛の茂みの下にプックリした柔肉と、そこからはみ出したピンクの肉花までが顔を出していた。
 女の頬は羞恥の火照りで火のように真っ赤になっている。
 女が両脚をそれ以上開けないぐらいに開き、陰裂がすっかり露わになると、男が手に持っていたバッグから何かを取り出し、フロントガラス越しに林に見せた。それは男根を型どった黒いバイブレータだった。実際のペニスより一まわりか、二まわり程太く、胴の部分にはイボのような小さな突起がびっしりと植えられ、クリトリスとアヌスを責めるための突起までついている。
 男は指で女の花弁の合わせ目を押し広げた。サーモンピンクの濡れた肉孔が露わになると、柔襞をかきわけてバイブを浅く突っ込み、ゆるやかに回転させていく。
「ううう…、くうっ…」
 女の押し殺したような呻き声が聞こえてくる。


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