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逃亡
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逃亡-23



「捜査にご協力いただきまして、本当にありがとうございます。」
 西岡がニッコリと笑って言う。
「いえいえ、市民の務めですから。喜んで協力いたしますよ。」
 相手もニッコリ微笑んだ。
 野上が入って来て、警察手帳を突きつけた時に店内を漂った剣呑な雰囲気が嘘のようだ。西岡が持つ雰囲気は周りを和ませるものがあり、礼儀作法もホテルマンに負けない。容疑者の取り調べにどれだけ役に立つかわからないが、少なくとも善良な市民相手には抜群の効果を発揮する。
「もちろんすぐに警察に通報しましたよ。実は、最近は物騒なので、店には隠し電話があるんですよ。ですから、テロリストの車がいるうちにこっそり通報したんですがね。」
 店長はペラペラと当時の様子を話している。
(これが、西岡が本庁配属になっている秘密だな。)
 出されたコーヒーをすすりながら、野上は一人納得していた。
 ここは新潟市郊外にあるハンバーガーショップ。西岡が事情聴取をしている三十歳前後の男が店長である。緋村はここのドライブスルーで買い物をしていた。
 店長に呼ばれて、緋村の応対をしたというアルバイトの女子店員がやって来た。目が大きい、ショートカットのなかなか可愛い娘である。さっそく西岡が尋ねた。
「運転していたのは、全裸の女性だったんですね?」
「いいえ。男の人でした。」

 芦川美咲は、毎日午前七時の開店から午前十一時までの四時間、このハンバーガーショップでアルバイトをしている。彼女が通うデザイン専門学校の授業はたいてい午後からなので、その時間帯にアルバイトをするとちょうど良いのだ。
「スペシャルハンバーガーのセットを2つ。」
 ドライブスルーに設置されたマイクから、店内のスピーカーに注文の声が入った。時間は午前七時十五分、今日、二組目か三組目の客である。
「恐れ入ります。スペシャルハンバーガーのセットは、ただいま十分ほどお待ちいただくことになります。」
「ああ、いいよ。十分ぐらいなら。」
「かしこまりました。黄色い線に沿ってお進みください。」
 そう返事をして、美咲はカウンターから顔を出して車に声をかけた。
「お先にお会計の方、よろしいでしょうか?」
 止まっていたのは白いセダン。そして、男の顔を見た途端、美咲は息を呑んだ。普段はニュースなどほとんど見ない美咲だったが、昨夜は報道特別番組を深夜まで見ていた。おかげで寝不足だったのだが、眠気もいっぺんで吹き飛んでしまった。番組で何度も何度も映し出されていた顔が、今、目の前にあるのだ。車を運転しているのは逃亡中のテロリスト、緋村一輝ではないか。
 美咲の表情の変化に気づいた緋村は、ニヤリと笑ってこう言った。
「お嬢さん、彼氏はいるのかね。」
「…は、はい…」
 相手が相手だけに、答える美咲の声は震えていた。二か月前から付き合い始めた彼は、同じ専門学校のデザイナーの卵だ。
「じゃあ、彼氏にこんなことをしてあげたことはあるかね。」
 緋村は運転席のドアを開けた。
「あっ…」
 美咲の口から思わず鋭い叫びがもれた。男の股間から剥き出しの肉棒がそそり立っていたのだ。毒々しい青紫色をした太竿が隆々と反り返っている。
 そして、美しい女性が座席の下にうずくまるようにして、ほっそりした指を男根に絡みつかせ、しごいていた。全裸の美女。人質になっている早瀬瑞紀警部補だ。テレビで見るより、ずっと可愛い人だと美咲は思った。
 その美女が車の中でペニスを愛撫させられている。昨日美咲が見た番組では大幅にカットされてはいたが、関越自動車道のサービスエリアで、彼女が徹底した陵辱を受けている様子が映っていた。
「瑞紀、アルバイトのお嬢さんが今後の参考に見ているんだから、ちゃんとしごけよ。」
 言葉を失い、目を見張る美咲の反応を楽しむように、緋村は瑞紀に命令した。
 ちらっと美咲の顔を見て、哀しげな表情を浮かべると、瑞紀はためらいながらも、また、太棹を前後に擦り続ける。ぎごちない指の動きが徐々に速まっていった。
「そうすると、フェラチオもまだかな。」
 逆らってはいけないと思い、美咲がうなづく。美咲は処女ではなかったが、セックスの経験も数えるほどしかなく、ましてやフェラの経験はなかった。男性器を口で舐めるなどたまらなく不潔な気がする。しかも、女が男の股間にひざまづいてペニスを愛撫するその姿は、美咲には屈辱的なもののように思えた。
「では、この女がやって見せるから、よく見ていなさい。」
 冷酷な命令に、瑞紀は泣き出しそうな顔で緋村を見上げた。この事件が起きるまでヴァージンだった瑞紀にとって、フェラチオに対する嫌悪感は美咲以上である。ましてや、他人が見つめる前で、自分から男の陰茎を舐めたり、しゃぶったりするなど、とてもではないが平気でできることではなかった。
「早く舐めるんだ!」
 緋村に怒鳴られ、鋭い眼光で射すくめられると、瑞紀は観念したかのように、そそり立つ肉棒に桜色の可憐な唇をゆっくりと近づけていく。男の性臭がムッと鼻をついた。


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