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逃亡
【その他 官能小説】

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逃亡-20

緋村は指で花弁を押しひろげては、トロトロ湧き出る粘液を指先ですくい、ルビーのように膨らんだ陰核をこねくりまわす。
「うう…ん…」
 たまらず瑞紀の白い喉で呻きが上下する。
 瑞紀の反応の変化に合わせて、アヌスはキュッキュッと切なげな収縮を繰り返し、直腸の襞が膣以上に複雑な締めつけで緋村の陰茎を刺激していく。
「ううっ、いいぞ、瑞紀!」
「あぁん…、ああぁ…」
 秘裂に挿入された指が粘膜越しにアヌスを貫く肉棒を探っていく。激しい性感に翻弄され、瑞紀の頭の中が真っ白になっていく。
「美人警部補が、テロリストの愛撫に、とうとうよがり声を上げ始めました。」
 新山が、その様子を事細かに実況中継していた。
「憎むべき相手に淫らな責めを受けながらも、感じてしまう女体の哀しさでありますっ!」
(いやっ!ここでイクなんて、いやよっ!)
 残酷な新山の声を耳にしながら、瑞紀はイクまいと必死になって最後の抵抗を試みていた。テレビカメラに囲まれ、アヌスを犯されてイクところを実況中継されるなど、死んでしまいたい程の屈辱だ。
 しかし、背中に電気が走るような感覚は、徐々に間合いを詰めて襲ってくる。
「うぐっ…、もうだめぇ!」
「でるぞっ!」
 そう言うと緋村は、激しく全身を震わせ、瑞紀の直腸で爆発した。
 その瞬間、オルガスムスの波が瑞紀を襲った。
「あ…、あっ、あっ、あぁー…」
 身体がビクンピクン震え、自然に声が出てしまう。
 緋村は内臓の奥へ届けとばかりにドクンドクンと脈打たせ、思いきり放出する。瑞紀のアヌスはピクピクと痙攣しながら、それを受け止めていた。
 やがて緋村は肉棒をゆっくりと引き抜きにかかる。直腸ごと押し出されるようにピンクの肉がめくれてついてきた。
「あ…、あうう…」
 瑞紀は全身の肌を緊張させて顔をしかめた。少しでも動き、呼吸すれば、激痛がアヌスから脳天まで突きあがってくるようだ。
 それでも放出したザーメンのヌラつきに助けられて、陰茎はヌルヌルと引き抜かれてきた。やがてアヌスが大きく広がり、スポンと抜けるとキュッともとに戻りつぼまった。そこから白い精液が垂れていく様子がモニターに映し出されている。

「さあ、中継はこれでおしまい。撮影隊の諸君とは、ここでお別れだ。」
 瑞紀を縛っているロープを手際よくほどきながら、緋村が言った。
「せっかくの大スクープなんだ。もう少し撮影させてもらえないか?」
 カメラマンの一人が声をあげた。それを聞いて、緋村はゲラゲラ笑い出し、彼に向かって言った。
「これから、私と早瀬警部補は二人っきりでドライブを楽しむんだからね。野暮なことは言わないものだ。まあ、野暮と言えば、君が隠している桜の紋以上に野暮なものはないかもしれないがね。」
 カメラマンに扮した警察官の身元はすっかり割れていたのだ。緋村はぐったりした瑞紀の身体を抱きかかえるようにしながら、言葉を続けた。
「こちらは先刻ご承知だよ。例えば、あのJBCの運転手もだろ。」
 さらに報道陣の数人を指さした。
「そして、彼と彼だ。さすがにJBCは多いな。他の局に配置しているのも大体わかっているさ。」
「何を言ってるんだ?私にはさっぱり…」
 緋村が、しらを切ろうとする警察官の言葉を遮る。
「そういうこともあって、ここでお別れというわけだ。」
 なお、話しかけて時間を稼ごうとする警察官を、緋村は厳しい顔で睨みつけて黙らせた。
「さあ、瑞紀、運転してもらおう。」
 そう言うと緋村は、一糸まとわぬ姿の瑞紀を運転席に押し込み、自分も助手席に乗り込んだ。ドアを閉め、助手席のウインドウを開けると、カメラマンに扮した警察官に声をかける。
「二人きりのドライブを楽しませてもらう。追跡する車両があれば、人質はどうなってもしらないぞ。それに、原発もだ。」
 警察官達が歯ぎしりするのを後目に、緋村と瑞紀を乗せた白いセダンは、悠々と高坂サービスエリアを後にした。

   *

 会議は重苦しい沈黙に包まれていた。
「緋村の逮捕はもちろんだが、まずは早瀬警部補の安全確保に努めてもらいたい。」
 沈痛な声でそう言ったのは瑞紀の直属の上司、加納警備部長だった。
「速やかに、とれる限りの手だては取り、最大限の努力をいたす所存でございます。」
 PFFT対策本部長の細井警視が、顔中を汗にしながら言う。しかし、「最大限の努力」はどちらかと言えば自らの保身に向けられているようだし、それ以上に具体策があるようには見えなかった。
「とにかく、全力を尽くしてくれたまえ。」
 臨席していた警視総監がそう言い、暗澹たる表情で退席しようとした時、記録係として会議室の端に座っていた若い捜査官が立ち上がった。
「総監にお願いいたします!」
 思い詰めた表情で、うわずった声をあげたのは警備部の西岡だった。
「野上さんを、野上巡査部長を現場に戻してください。」
「君は?」
 警視総監が怪訝な顔をするのにも構わず、西岡は一気に言葉を次いだ。
「緋村を見つけることができるのは、野上巡査部長以外にはありませんっ!」
 根拠などなかった。ただ、それが西岡の確信だった。


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