逃亡-15
3
「隠してないと嘘をついて、下着に発信器を隠していたんだからな。他に何か隠してないか、徹底的に調べさせてもらおう。」
そう言うと、緋村は瑞紀の可愛らしい顎をつまんで、顔を上げさせた。
「それじゃあ、まず、口をあけてみろ。」
瑞紀が口をあけると、緋村は、甘い香りのする口の中を覗き込み、その中に指を突っ込んだ。
「ああっ…」
瑞紀が眉根を寄せる。指は舌を、口の中の粘膜を執拗に撫でていく。ずっと口を開けさせられているため、唾液がたまり、桜色をした唇の端から糸を引いて地面に落ちた。
「口を閉じて、しゃぶってみろ。」
瑞紀は不快感に耐えながら、緋村の指をしゃぶった。舌の動きにあわせて、緋村が指を送出する。まるで、フェラチオのようだ。
しばらくそうしていると、急に緋村の指が喉の方に侵入してきた。
「ぐっ!」
思わずえづきそうになるのを、必死でこらえる。きつく閉じた目に涙が滲んだ。
残忍な緋村の笑い声が耳に響く。
「よし、上の口の中にはないな、次は下の口だ。」
「!」
緋村は当然のことのように言い、瑞紀は追い立てられるようにして白いセダンのボンネットに乗せられた。
「ここに座ったまま脚を開け。女はオ××コの中に隠せるからな、よく調べさせてもらおう。」
ここまできて、一切の抵抗が無駄だということは瑞紀にもわかっていた。あきらめたような顔で、おずおずと脚を開いていった。ポワポワした陰毛が顔を見せる。
しかし、FNCのテレビカメラが、下腹部に近づいてくると、さすがにそれ以上、脚を開くことができなくなった。そして、立て膝で隠そうとする。
それを見た緋村がいきなり瑞紀の両足を掴むと、左右に引っ張って無理矢理開かせた。
「や、やめ…」
瑞紀は足を閉じようと必死で抵抗したが、緋村は黒いカバンからロープを取り出すと、フェンダーミラーを利用し、両脚を全開にした格好で彼女をボンネットの上に手際よく縛り付けた。
「おおっ、こりゃあ凄いぞ!」
緋村は、わざと大げさに感嘆の声をあげた。
「おーっと、これは可愛らしい。思わず食べてしまいたくなるアソコが、私たちの目の前に露わになりました。」
緋村に合わせるかのように、新山の絶叫が響く。FNCのカメラは、その部分をアップでとらえた。
大理石のように白くまぶしい下腹部に、小判型の艶っぽい茂み。それがそのままふんわりと甘美にクレヴァスの周辺へなだれこんでいる。恥毛に縁どられたヴィーナスの丘は二十三歳とも思えない清楚な薄赤色で、フカフカのマシュマロでできているかのように柔らかそうだった。それがつつましく互いに寄り添い、チラリと内側の果肉をのぞかせている。
「驚いたな、学生時代からモデル、ミスコンで遊んでた早瀬警部補がこんな綺麗なオ××コをしているとはね。」
秘部をしみじみと鑑賞される恥ずかしさに、瑞紀は唇を噛んで横を向いていた。
「せっかくのオ××コだ。FNCには悪いが、全局のカメラに集まってもらって、全国にオ××コのどアップを放送してもらおうじゃないか。」
緋村の合図で、瑞紀の脚が大きく開かされている前に、各局のカメラが一斉にセットされた。
「よし、自分でオ××コを開いてみろ。」
瑞紀は自分の性器に手をあてた。柔らかい肉が指に触れた。
「早くしろ!」
怒鳴りつけられ、反射的に瑞紀は両手の人差し指と中指で、そこを押し開いた。秘裂の内側がぱっくりと開き、ピンク色の唇の裏側と、中に秘められた可憐な肉細工が露わになる。
「ああっ、恥ずかしい…」
何台ものテレビカメラを前にして、女の源泉を丸ごと晒すそのつらさ、切なさに、さすがの瑞紀も弱々しい声を漏らした。
「おやっ?」
緋村が怪訝な表情を浮かべた。
「JBCのカメラがいないじゃないか。」
そう言うと、モニターのチャンネルをJBCのテレビ映像に切り替える。
「…これまで、えー、いわゆる超法規的措置で釈放された過激派はですね、すぐに国外へ逃亡しているわけでありますが、あー、今回の場合…」
警視庁PFFT対策本部の細井警視が、記者会見している様子が映し出されていた。
「なんだこりゃあ? 国営放送め、ストリップは中継できないというわけか。お高くとまってるな!」
不愉快そうに言うと、ふと、何か思いついた様子でニヤリと笑った緋村は、恥辱のポーズをとらされている瑞紀の耳に囁いた。
「おい、JBCがお前のアソコを放送してないぞ。原発を爆発させたくなかったら、こう言うんだ…」
「えっ、そんなこと…」
瑞紀は泣き出しそうな顔で緋村を見た。そして、いやいやするように頭を左右に振った。
「さあ、早く言うんだ。」
しかし、瑞紀は顔を真っ赤にして、激しくかぶりを振るだけだった。