妄想する由香里-2
後は流されるまま、数人の男達に駅事務所に連れていかれ、駈けつけた警官に痴漢に遭った状況を伝えた。
後日、相手側の弁護士から示談を持ちかけられたが、常習者という事と、由香里の職業を知った検察側から『先生、こんな事は放置してはダメです』という強い勧めで、告訴する事にした。しかしこれは余談。
その日の由香里は、ショックの余りに研修会にも出ずに自宅に帰った。
何もする気も起きず、ソファーに呆然と座っていたが、そうすると今日の事を思い出してしまう。それを振り払おうとして、慌てて読みかけの小説本を手にするが、目で追う文字は全然頭に入らなかった。
ふと、気付けば電車の出来事を思い返していた。
ショックだった。目の前で犯罪者が引き立てられる光景を思い出して身震いした。気の弱い由香里は、その犯罪者に自分の体が触られていた事が、怖くて怖くて仕方がなかった。
なのに…。
身震いするほど怖いはずなのに、知らず知らずの内に下着の上から割れ目に指を沿わせていた事に気付いて、ハッと驚いてしまった。
濡れていた。
電車の中でもそうだった。拒んでいたはずの男の指が、すんなりと迎えるほど、割れ目の中は淫らな愛液で濡れていたのだ。男が割れ目をこじ開けようとして、刺激したクリトリスの痛みが甦った。その瞬間、ジュンと愛液が溢れたのを自覚した。
もう止まらなかった。由香里は男の指が自分の淫らな部分を犯す事を想像しながら、下着の上から割れ目のスジを幾度も擦っていった。
恐怖で震えていた由香里の隠された本心が現れた。
「はあ、はあ、はあ、もっと、もっと…」
妄想の中の由香里は、電車で中断された痴漢の指のさらなる刺激を求めた。湿った下着をずらし、現れた割れ目の中に指を滑り込ませた。大量に溢れた愛液が潤滑油となり、由香里の中指が痴漢の指と同じ様にクチュリと溝の中に収まった。
「あっ…、はあん、あああ、そう…、もっと弄って…」
その時に言えなかった言葉を、妄想の中の痴漢に伝えた。そうすることで由香里の妄想は、どんどん膨らんでいった。
「おい見てみろよ。こいつオレの指の動きに反応して、自分から足を開いたぞ」
痴漢が由香里の淫口を掻き廻しながら、周囲の男達に自慢げに言った。すると、電車の中で痴漢を捕まえたはずの周囲の男達も、由香里の体を弄りだした。
「あうう…」
痴漢を捕まえた時に、由香里に『大丈夫ですか?』と親切に声を掛けた男が言った。
「おい淫乱女、もっと弄って欲しいのか?」
「いやああああ」
男の蔑みの言葉に由香里は首を振ったが、下半身は刺激を求めて、なめかしく前後に腰を振った。
由香里の妄想は暴走していった。触られるだけではもちろん飽き足らない。吊皮を持たされた姿勢のまま、後ろから熱い肉棒で順番に犯された。
妄想には自分を犯す者だけではない。由香里の行為に目を見開いて驚く者、呆れかえる者、目を伏せる者も多い。由香里は5,6人の男達に順番に犯されながら、そんな他の乗客からの蔑んだ白い目に堪らなく興奮を覚えた。
自分を白い目で見る者達に聞こえるように、由香里の喘ぎ声が大きくなっていった。
「あうう、もっと、もっと、ああああん」
痴漢に淫乱の火をつけられた由香里の妄想は、次の日の朝まで続いた。