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僕をソノ気にさせる
【教師 官能小説】

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僕をソノ気にさせる-38

 急に突き放されるように瑞穂に言われ、杏奈は心が絞めつけられる思いがした。今日瑞穂に会いにきたのは、こんな言葉を聞きたいのではなかった。誰かに優也への思いを肯定してもらいたかったのだ。家庭教師に赴く度に、優也とキスを交わして、家で確認すると恥ずかしいほどに濡らしている今の自分を、まぁそれでいいんじゃない、そうなったんなら仕方ない、と言って欲しかったのだ。
「ヒドいこと言わないで。私、マジメに言ってるんだよっ?」
「声、デカいなぁ」
「瑞穂がそんなこと言うからっ!」
 杏奈は大きな音を立ててテーブルを叩いた。
「暴れないでよ。……いい? あんたのしてることは、最低最悪の事だ、つってんの」
「なんでよ! 優くんが好きだって言ってくれてるんだもん。……それを喜んで何が悪いの?」
「悪いことだらけだよ。しかも、悪いことだらけなのを、あんたが認めようとしてないよ」
「ヒドいよ、瑞穂!」
 あれ、と思ったら涙が出てきた。瑞穂が優也のことを非難している。瞬きすると二条も三条も頬を落ちてきた。息がうまくできない。嗚咽で胸が何度も震え始めた。
「泣いてすむ話じゃないよ? 男に浮気されたのとはワケが違うんだから」
「私が、……浮気したから?」
「浮気だって認めるんだ。……まあ、順番がどうかは分かんないけど、まだ別れてないんでしょうが。細マッチョと」
「もうすぐ別れる」
「別れたからって、じゃ、おおぴらに優くんが好きでーすって言えるの? あんた」
「……、す……」
 言葉が出てこない。
「ほら、言ってみなよ? 言えるもんならさー」
「ヒドいよ……」
 拳を握ってテーブルに付いて俯いた。鼻の先からポタポタと涙が膝の上に落ちてくる。
「十三のガキとさぁ、付き合ってる姿、想像できんの? あんた」
「できるよ」
「おーできんのか。すげぇな。じゃ、さっきのわりと簡単な算数の問題の続きだけど。十三の子が二十歳になったら、あんたはいくつになってるでしょう?」
「歳とればとるほど、歳の差なんて気にならないよ」
「って、優くんが言ったの? つっても、ま、もし仮に聞いたとしても、そう言うわなー、優くんは」
「……」
 はー、と瑞穂が煙を吐き出した。
「三十路のあんたが若い男の子ペットにしてるなんて、ますますレディコミの世界だよね」
「ねぇ、瑞穂、そんなこと言わないで、お願い……。優くん、そんなんじゃない」
「ヤラせてあげたらそうなるよ、きっと」
「ならないよっ。きっと、……きっと、気持ちいいもん。私、優くんを気持よくさせれるし、優くんにされると、きっと気持ちいいもん。わかるよ。知ってるものっ……!」
 思わず杏奈は最近頭を支配している妄想を瑞穂の前で次々と口に出してしまっていた。
「おーおー、サカりまくってるね、杏奈」
「……サカってない! そんなんじゃない!」
「そうやってオナってる間はいいけどね。ヤッちゃったらあんた、終わりだよ?」
「ねぇ、イヤだよ、瑞穂……。もうそんな風に言わないで?」
 杏奈はたまらず、ベッドに座る瑞穂ににじり寄った。だが、泣き伏す杏奈を瑞穂は姿勢を崩さず見下ろしたままだった。
「ねぇ、あんたの頭ナデナデしてあげる前にさぁ……、聞いて欲しいんだけど。あんた、きっとコレくらい言わないとわかんないよ」
「まだ言うの……? もうやめて」
 嗚咽で何度も跳ね上がる背中を見ながら、瑞穂も悲しい気持ちになった。だがここで二人して嘆くよりいいのだ、と深呼吸をする。
「……今、私が頑張って考えた喩え話。ちゃんと聞くんだよ?」
 瑞穂はゆっくりと話し始めた。「……無人島があるんだよ、陸地から遠く遠ーく離れた無人島。そこに優くんは一人ぼっちでいるの」
「……」
「毎日本ばっかり読んでね? 可哀想な子なの。そこへたまーにあんたが船でやってくるの。勉強教えるフリして、エロいことしにね」
「やめて」
 瑞穂の喩え話が脳にどんどん流れこんでくる。いい話なはずはなかった。拒絶の言葉を上げても、島に暮らす優也の姿が強烈な現実味を帯びて頭に浮かんでくる。
「で、『センセイが一番好きだよ』って言われて……、いや言わせて、あんたは喜んで帰っていくの。陸地の街へ、一人、でね。優くんを無人島に置いて……」
「映画館に連れて行ったよ? 本屋さんにも。東京タワーも二人で見て……、それに軽井沢にも行った。部屋の中ばっかりじゃない……」
 軽井沢の薄闇の中で、優也と数えきれないほど唇を吸い合って、手と指で慰められ、悦びの飛沫を飲み干した。喉を通った滴が真実の愛情の証でなければ一体何だったというのだろう。
「……連れていって『あげた』んでしょ? 陸地の街に連れて行って、たっぷり優しくしてあげて、そこでもキスさせてあげたり、体触って、触らせてあげたりしたんでしょ? 可哀想だね、優くん。私がいるからね、ってね。……でも、優くん、また無人島に戻されてんの。次、私が来るまで勉強して本読んで待っててね。私のこと想ってオナニーしてな? ってね」


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