彼女が水着に着替えたら-7
◇ ◇ ◇
「倫平」
どれだけ沙織の水着姿に放心していたのだろう。
ハッと我に返れば、目の前に沙織がいた。
ボケッとしていた俺を、キョトンとあどけない顔して覗き込むその仕草。
なのに、たわわに実ったバストのアンバランスさがやけに刺激的で――。
気付けば、俺は自分の下半身に異変が起きてしまったのだ。
う、うわっ、こんなとこで!?
咄嗟に前屈みになる。
「倫平、どうしたの? 汗びっしょり」
「い、いや……、腹の調子が悪くて……」
言えるわけねえだろ、男の生理現象なんて。
なのに沙織は心配そうな顔をしてさらに俺へ、ずいっと身を乗り出して来るもんだから、さらにゴムマリみたいなその胸が近づいて――。
ヤバいって、マジで!
「あ、の……大丈夫だから」
「だけど、辛そうだよ?」
そうやって距離を縮められたら、沙織のいい匂いや、呼吸や、水を弾きそうな白い肌がますます俺の身体を刺激する。
ま、まずいって! 誰か!
と、辺りを見回せば、さっきまで隣にいたはずの修と歩仁内は、すでに荷物を持って、みんなとビーチに向かっていく所。
きっと、沙織が俺んとこに来てくれたから、気を利かせてくれたのだろう。
でも、その気遣いは逆に俺をピンチに陥れた。
沙織に、もし勃っているのがバレたら、軽蔑されちまう!
もはや俺の頭の中は、バレたら最後と、そればかりを考えていた。
だから、俺は――。
「倫ぺ……」
俺の肩に沙織が触れようとしたその手を、反射的に思いっきりはねのけてしまったのだ。
「え?」
目を見開く彼女に、一瞬焦るけど、フォローする余裕なんてない俺は、
「ホントに平気だから! 先に行っててくれって!」
と、声を荒げてしまった。