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冥土の土産
【SF 官能小説】

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アリカ……そして-5

まあ、そういうことですだって!? おいおい何をしてるんだ。俺の膝頭に手をかけて裸の尻を下ろして来た。あっ、あっ……挿入された。気……気持良い……。
 だけど……待てよ。何か納得できないぞ。第一……俺はこのミッションなしで我慢してきたんだぞ。
「もちろん、これは国家が組織員についた大嘘です。でも大昔の諺にもあるではないですか。『嘘も方便』と」
 それだけじゃない。俺がこのミッションでセックスして来た相手の女性の人格や人権はどうなるんだ? いくら本物の人生には影響ないとはいえ、本物と同じ人権と人格を持った相手に場合によってはレイプする場合もあった訳だから、問題じゃないのか?
 ミリアは騎乗位で腰を上下しながら腕を上げてナースキャップの位置を直した。
「私たちの未来世界では、臓器移植のドナーとして患者のクローンを作っています。あなたのいう人格を持った相手というのも、タイムポケット・クローンと言われる者たちで、人格はない品物と同じ物と判断しています」
 げげげ……なんと言う無茶な世界なんだ。それにしても君も公務員だろう。それなのにセックスも仕事になっているのか? それこそ人権無視ではないのか?
 気……気持良いけれど、君の人権はどうなっているんだ? すると脇にいたトモミがにっこり笑って言った。
「心配しないで下さい。私たちもタイムポケット・クローンですから、本物はモニターでこの様子を監視しています」
 俺はミリアの腰の動きに耐えられず射精した。体がビクンビクンと痙攣し、頭の奥が快感で痺れた。
「じゃあ、交代ね、ミリア」
 トモミは裾を捲くり上げてミリアの背後に立った。するとミリアは俺のペニスを膣から外し、前に移動すると代わりにトモミが俺のペニスを股間に挿入した。
 トモミの方が体温が高く俺のペニスは熱く包まれた。そして激しいリズムで腰を動かした。ミリアは俺から降りると乳首を舌で愛撫し、トモミの支援?をした。
 トモミの姿が見える。その道の達人なのか、ベリーダンスのような腹部や腰の動きでたちまち俺は昇天した。出したばかりのザーメンがドクドクと溢れ出て来る。
「交代……」
 またミリアに交代した。トモミに比べてヒンヤリするミリアの膣が俺のペニスを擦る。頭の奥が芯から乾いて行く様な感じがした。このまま続ければ俺は絶対に死んでしまう。
 今までと違う。ザーメンは出るけれどだんだん頭の思考力が失われて生命力が磨り減って行く感じがするのだ。
「その通り、あなたは病院のベッドにいて臨終間近なのです」
 そう言ったのは今俺に乗っているミリアだ。また……射精した。意識が薄れて行く。
 トモミが俺のペニスを咥えてフェラチオを始めた。射精し続ける俺の精を悉く吸い出している。ミリアは俺の耳元で囁いた。
「私たちのしているミッションは、あなたが死ぬ直前まで性の快楽を感じるようにすること。『引導プレゼント・ミッション』と名づけています。
 あなたの肉体は臨終を迎えた老衰の身ですが、意識だけ若い肉体の頃へタイムトラベルさせて今最期のセックスを楽しんでいるのです。伝説の組織員さん。後輩の組織員に何か最期に言い残すことはありませんか?」
 な……何もない。所詮、俺とは違う人間だ。表面だけ真似しても俺にはなれない。するとミリアが俺の耳に唇をつけて囁いた。
「全く他人という訳でもありません。だって、私たちの時代の組織員は全員あなたのクローンで構成されてますから」
 な……なんだって?! そのとき俺はまた射精してそれをトモミの口で吸いだされ意識が遠くなって行った。

S病院の1病室で医師や看護師に見守られ、嘗て国家特命公務員、地域再生工作及び組織育成指導員だった海野広老人が軽い痙攣の後、息を引き取った。享年98歳であった。
   

                 完  


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