盗賊の生成過程/エクスタシーかタナトスか-3
3 被虐の調教
純は水溶液の入ったカプセル状の装置の中に監禁されていた。純の表情は苦しげに眉をしかめ、目を閉じている。
水溶液に浮かぶ人の標本のように戦士の防弾チョッキや戦闘服は剥ぎ取られ、全裸の姿にされている。
純の口許は酸素マスクのようなもので呼吸が確保されていた。
純は意識を保ったまま、肉体は眠ったような状態にされていて目を開くことすらできない。
ナノマシンに送り込まれた情報で純はまだ自分がバトルアーマーのコックピットで搭乗席にいると思い込まされている。
ただし、おぞましい悪夢の中にいる。
搭乗席でシートに縛りつけられている。
コックピット内にバトルアーマー内の配線が侵入して蛇のようにのたうち、また純を拘束しているのだ。
モニターはコックピット内で縛りつけられている純の姿を映し出していた。
快適なはずのコックピット内は気温が上昇してサウナのように暑く、湿度も高くなっている。息をするたびに肺が熱くなる気がする。
細い首すじに汗が滴り落ちていく。
水溶液の中で息苦しさと暑さを純は感じている。
素肌に汗が浮き、縛られた体に汗で濡れた服が密着している。そのために縛られて張りのある乳房が突き出されたようになっている。体のラインが浮き出たような具合になっている。
モニターに映し出された自分の姿はまるでSMプレイの女奴隷のポルノグラフィのようだと純は思う。
カプセルの中で先端に注射針のついたコードがのびてきて、純のうなじ、左右の乳輪のあたり、背中、尻、恥丘の陰毛の奥にある外陰部、左右の内腿、ふくらはぎ、足首、爪先……と針を刺していく。
特殊な薬剤と極小のナノマシンを純の体内に注入しているのである。
搭乗席のシートに拘束しているコードがバチッバチッバチッと小さな音を立てると、純は痙攣して全身に快感が走った。
「はぁ、はぁ、漏電しているのかしら……」
体に電流が流れたことで苦痛と快感とそのあとの全身の筋肉がだるくなったような感覚があった。汗ばんだ肌は通電しやすくなっているのだろうと純は考えた。
純の体内に埋め込まれたナノマシンに、新たに注入されたナノマシンが接触して別のプログラムに書き換えていくと、純の体に刺激が走る。
「あうぅっ、あぁぁっ、くぅぅっ!」
バトルアーマーのブラックボックスに何らかの障害が発生して、防犯プログラムが誤作動で発動していると純は思っていた。
バトルアーマーはそれぞれ搭乗者専用機であり、他のナノマシン認証が不適合な者がコックピット内に侵入すると拘束して拷問のような苦痛を与えると純は聞いたことがあった。
だが、それが苦痛と同時にこれほどの快感をもたらすとは考えもしなかった。
股間の奥が汗ばみとはちがう湿りをおび始めているのが、純にもわかった。
「はぁ、はぅっ、んあっ、はぁ、はぁ……んあっ!」
乳首は痛いほど勃ってジンジンと感じている。
「えっ、そんなっ、あ、あぁっ……」
さらに、床下から這い出てきた侵入者懲罰用のコードが足首に巻きついてきたり、衣服の中に潜り込んできたのである。
「あひぃぃぃっ!」
下着の中に潜り込んだコードの先端がクリトリスに電撃をくわえた。
それは注射針がクリトリスに薬剤とナノマシンを注入した直後であった。
(あぁっ、私……バトルアーマーに弄られて……嫌なのに、でも……感じてるっ、んあぁっ!)
ぞくっと背筋に寒気に似た快感が走り抜けていく。
ナノマシン注入が終わると、カプセルから水溶液が抜かれていく。純の指先が震え、足の爪先が反るような感じに反応し始めている。
カプセルのふたがゆっくりと開いた。
カプセルに近づいた背の高い白衣の男は、純の鼻と口を覆っている酸素マスクを外した。
「ぅっ、ううぅっ、んんっ……」
純は男に抱き上げられてカプセルから出された。その唇から鼻にかかったような喘ぎが洩れていた。
男は以前に純に会ったことがある。
まだナノマシンが体内で安定する前に姿を見られたらまずい、と男は判断して純を床に下ろすと研究室から出ると、別室でモニターで監視記録することにした。
残されたのは三体の男性型セクサロイドである。
男が退室すると、三体のセクサロイドが作動した。
セクサロイドはプログラムされた命令を忠実に実行するために、床に仰向けに放置された純の白い女体に近づいていく。
純はまだ、薬の影響とナノマシンの変換完了直後で意識が朦朧としている。
三人がかりで純は床に押さえ込まれていた。
「はぁ、んっ、むぐっ、んんっ……ふぁっ、はぁ、はんっ、あっ、ひゃあぁっ、さ、三人で私を、んぁっ、オッパイ舐められたらぁ、ぁあっ、あぁっ!!!」
身悶えるヴァルキリーの鍛えられた美しい女体に、セクサロイドは愛撫をくわえていく。
まるで三つ子のように同じ容貌、同じ体つきのセクサロイドは、人気のある若い俳優の顔立ちとボクサーの細いが鍛えられた体つきを参考にして作られている。
ナノマシンの改造と薬でセクサロイドでなくても、純の体は愛撫に逆らえず火照り、淫らに疼いてしまうのだが、性技をプログラムされたセクサロイドによって今までの性体験で感じたことのない快楽の淵へと純は堕とされていく。