13.愛の中にある幾許かの狂気-6
「そんなキレイな顔してっくせに、ブリブリすげぇ音だなっ!!」
殆どが薬液の噴射音で、排便の音は全く無かったと言えるのに、竜二がその様を表すのに最も屈辱的な言葉を選んで罵る。
「立たせてくれ」
冷淡だった健介の声に興奮が混じっていた。健介が持っていた腕を受け取った竜二が両脇を抱えるように悠花を無理矢理立たせる間に、健介も衣服を脱ぎ去り全裸になった。
「そこに両手をつかせてくれ」
回れ右をさせた悠花の腰を掴み、後ろへ数歩引かせながら健介が指示をする。
「ほらほら、悠花ちゃん、アナルセックスの時間ですよぉ」
と、竜二が悠花の両手を引き、つい今まで座っていた便座にネイルの美しい指を掴ませる。
排泄器を犯される――。その事実を知った悠花にほんの僅か残された防衛本能が、身を捩じらせてこれを防ごうとするが、現実に見せることができた抵抗はほんの僅かで、悠花の排泄の姿に完全に勃起した健介の男茎の先が菊門にあてがわれた瞬間、背を丸めて侵入を阻止するものの、すぐに横から竜二に背を上から抑えられると成すがままに背を反らしてヒップを突き出した獣の体勢に戻される。
「俺のチンポはコイツみたいにイジってねぇノーマルだからよ? 安心しなよ」
健介が菊門に向かって男茎を捻じ込み始めると、反射的に悠花は括約筋に力が入って侵入を防ごうとする。ノックするように押し付けられる男茎を、悠花の初めての場所は容易に招き入れようとしなかった。
「おら、力抜けよ。締めてると逆に痛ぇぞ?」
健介の男茎に、くすみも色素の沈着も全く無い、肢体を彩る滑らかな肌と同じく麗しい悠花の菊門が犯されていくところを間近に見ようと覗き込んでいた竜二が、
「おらっ、力抜けってばよ!」
と、悠花の体の下に手を入れて、重力に従いつつも形よく張り出しているバストの先端をワンピース、そして存在を忘れかけていたブラの麻布で指で弾いて擦ってくる。
「わぁっ……! ああっ……!」
悠花は前躯を震わせて、久々に訪れたバストへの性感に、ビクッ、ビクッと体を痙攣させた。健介がその体の反応に緩んだ菊門へ力強く亀頭を押し付けると、絞りを押し広げて侵入を開始した。
「うっぐっ……」
項垂れた悠花から濁った呻きが漏れる。ボールの大きさの比ではなかった。未経験の菊門の拡張に悠花の内ももがガクガクと震え、バミューダサンダルがトイレの床に何度も鳴った。
「いっ……、いたいっ……」
悠花が漏らした所感は誤りだった。薬液で満たされ十分馴染まされたその場所は、チューブやボール以上の大きさの健介の男茎も、押し広げられながらズブリと受け入れていた。裂かれるような痛みではなく、突き進み続けられると果ては喉まで出てきそうなほどの息苦しさだった。
「お〜、ズッポリ。瀬尾悠花のアナル犯されっとこ、丸見えだぜぇ?」
竜二に揶揄されても、健介の男茎が完全に埋められ先端が直腸深くまで到達すると、その圧迫感で悠花は息苦しくてうまく声が出せず、
「ぬ、うぬっ……、ぬい……、おぉ……、ぬい、て……。くる、し……」
と息を何度も吸い込みながら漸く言った。
「あ? 何言ってっかわかんねぇよ? ま、たっぷり犯してやるからよ。瀬尾悠花のケツをよ」
と、健介は二、三足踏みをしてピストンの準備に入った。
「あがっ……、こんなの、こんなの、でき、ない……」
「あんだけ浣腸で掃除してやったんだ。チンポ呑みこめるクソ穴にしてやってるから平気だぜ? ……便秘じゃなくてよかったな。ちょっと濁ってる程度だ」
健介が言うと、竜二が面白がって悠花の後頭部を掴み、
「見てみろよぉ? 自分が出しちゃったヤツをよ」
耳元で言った。薄目を開けると、震える体に合わせて鼻先からぶら下がった精液垂れが揺れている。その向こうにはボンヤリと便器の水面の揺らめきだけが見えたが、とても焦点を合わせられない。そうしている間に健介がゆっくりと細かく出し入れをし始めた。数センチも往復していない。しかしその僅かな動きですら、圧迫感が腹の中に充満してくる。
「ぐぅっ……。や……」
悠花が呻きを搾り出す中、徐々に健介が男茎の往復を長めてくる。すると次第に悠花の直腸に、他の体の部分とは違う、ほぐされるような不思議な快楽が湧き起こり始めた。
「はっ……、んっ……、なに、これ……、やっ……」
「感じ始めたみたいだぜ?」腰を滑らかに使いながら、性交中にもかかわらず健介がニヤリと竜二を見やった。「狭ぇな、ここ。あっち連れて行こう」
と、悠花の後ろを貫いたまま後ずさりを始めた。
「わっ……、あっ、ま、……」
強引に後ろに引かれて、便座を辿って上体を支えていたが、やがて手が届かなくなり、悠花は指を床に付き、前屈した姿で部屋の中に引き戻されていった。