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good communication
【若奥さん 官能小説】

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女であることを忘れていた女-1

浮気とか不倫とか、そういう類いのものは、テレビやネット、小説の中で起こる絵空事であって、私の平和な世界にそういう波風は起こらないものだって思っていた。


でも、この目の前の衝撃的画像は確かにリアルであり、波風どころか私を嵐に巻き込むほどの殺傷能力があった。


目の前の現実と、その事実を認識できない自分がせめぎあううちに、クラクラ目眩がして、立っていられなくなってデスクに手をつく。


……信じていたのに。


回らない頭が思い描くのは、「離婚」の二文字のみだった。


結婚式で愛を誓った時は、何があっても乗り越えてこの人と添い遂げると決めたはずで、その気持ちは今の今まで変わることはなかった。


だけど、それは二人の間に確かな愛があるってことが大前提であり、それが崩れ去った今、そんな一生一代の誓いなんて鼻くそみたいなもんだ。


やがて、何か張り詰めていたものがぷっつり切れてしまったのか、私はそこら辺のものを手当たり次第床にぶちまけた。


息苦しくて、震える身体。鳥肌が立っているのに、勝手にダラダラ流れてくる汗。


制御不能な身体は、次々と輝くんの書斎を滅茶苦茶にしていく。


片付けたばかりのペン立てや、デスクにまとめていた雑誌や新聞。


それも次の瞬間には、無惨にも床に落ちていた。


そんなことをするうちに、デスクの隅に置いてある、フォトフレームが視界に入る。


瑠璃を産んで、退院する時に撮った家族写真だ。


生まれて日の浅い瑠璃を抱っこする私と、その横に少し緊張した様子で無理矢理笑顔を作る、輝くん。


いつから裏切っていたの?


私だけじゃない、瑠璃まで裏切っているってわかってるの?


怒りと悔しさと悲しさで、歯の根が合わなくなってくる。


視界の端に映る汚らわしい画像が、写真の中の私と瑠璃を嘲笑っているような気がして、気がつけばフォトフレームまで床に叩き付けていた。




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