嗜虐心-4
脚を伸ばして座る佑香里の横にあぐらをかいて座ると、タツミはその太ももゆっくりと右手を伸ばした。
思えば高校、いや、もしかしたら中学以来、女の肌を触るのはこれが初めてかもしれないな。そう思いながら、触れた瞬間に消えてしまうんじゃないかと思うような乳白色の肌に手の平が近づいて行った。
ぺたっ。
手の平全体が佑香里の右太ももの上面に密着した。そこから感じ取れるスベスベ感。さっきの試合で少しは汗をかいていると思っていたのに、一切のベタつきのない肌触りだった。それなのに、肌は小さな水の滴を敷き詰めたかのようなしっとり感、モチモチ感、みずみずしさを保っていた。
触った瞬間に電撃が脊髄を走ったかのような感覚を覚え、強烈な劣情がタツミから溢れ出した。
そして、これだけ気持ちの良い綺麗な脚だからこそ、何とかして汚してやりたいという気持ちが強まるのだった。
これをどうすればいい。頭の中で色々なことを考える。この太ももを思いっきりボロボロにするような方法はないか。頭を高速で動かして、タツミは色々ないじめ方を考えた。
このキメ細かな肌に傷をつけてやる。そう思って、手始めにタツミは思い切り爪を立てて太ももに食い込ませた。
「いたっ、あっ、あうっ……」
太ももの肉に指がずぶずぶと沈んでいく。最近爪切りを怠っていたため、少し伸び気味だった爪が鋭く肌に食い込んでいく。
「あっ、ああっ……!」
結構痛そうである。手を離してみると、五つ、真っ白な肌に赤い爪痕が刻まれている。完璧に作り上げられた繊細な肌が、暴力的な仕打ちで傷つけられていく。しかも、それを相手は甘んじて受け入れるのだ。タツミの嗜虐心はどんどん加速していく。
玩具を与えられた子供のような表情で、タツミは佑香里の内ももにも手を伸ばした。脂肪が集まっていて、皮膚も薄いこの部分を鷲掴みにすると、また鋭い爪をそこに食い込ませる。
「痛いっ、痛いですっ」
「うるさいな、こんな鷲掴みにされるような肉をつけているのが悪いんだろうが」
「うぅ……」
本当は最高に好みの肉付きなのだが、女性は男が思っている以上に肉付きにコンプレックスを感じるらしい。だから、あえてこうやって脂肪がつきすぎだと言ってやる。
「バドミントンするときは半ズボンなのに、こんなぶよぶよの豚みたいな脚を晒して、恥ずかしくないのか、おい」
「ご、ごめんなさい……恥ずかしい、です……」
さらに指に力を込める。
「このまま抉り取ってやろうか? いらないだろこんな肉」
「痛っ、うっ……ごめん、なさい……許してください」
「なんだよ、この無駄な肉いるのか?」
「はい……いるんです、だから、とらないでください……」
苦しそうに表情を歪めて痛みに耐えている。本当はタツミの手を引き離したいのに、それができないで佑香里の手はうろうろとあたりを戸惑っている。
「恥ずかしいのにつけっぱなしにしとくの? それって変じゃないか?」
「あの……恥ずかしいのが、好き、なんです……ごめんなさい」
サディストの心を刺激する術を知っているようだ。誰かに教え込まれたのだろう。佑香里は動作やセリフの端々からマゾっ気がうかがえる。
「へぇ、マゾなのか。ド変態だな」
「はい……ごめんなさい、変態なんです……」
「じゃあ変態のマゾらしいこと言ってみろよ」
「は、い……えと、あの、恥ずかしいこととか痛いこととかが大好きで、興奮しちゃうので……佑香里のことをいっぱいいじめてください、ご主人様……」
身体がぶわっと熱くなる。こんな女が目の前にいるのだ。このエサに食いつかないサディストはいないだろう。
「仕方ないな、それじゃあいっぱいいじめて興奮させてやるからな」
「はい、ありがとうございます……」
引きちぎられそうな勢いで爪を立てられた太ももを見つめながら、佑香里はつぶやいた。