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夜羽球の会
【調教 官能小説】

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嗜虐心-2

 佑香里が顔を上げた。少し眉が歪んで嫌そうな顔をしている。ここだ、こういう細かな部分でも荒探しをして佑香里をいじめたい。タツミは端整なその顔立ちを見て、そう思った。
「おい!」
 ダンッ―――!
 佑香里の目の前でタツミは強く足を踏み鳴らした。一瞬ビクッと身体を縮こまらせて目を閉じた。その仕草に下半身がうずいた。
「は、はい……」
 おずおずとした、怯えた声である。この声だ。こういうひ弱な声を聞きたいのだ。
「今一瞬嫌な顔しやがったな、てめぇ! ご主人様の靴を舐めるのに嫌な顔をするとはどういうことだ」
「え、いえ、そんな顔してませ……」
「ああぁ!!?」
 もう一度、タツミは足を踏み鳴らせて威嚇する。足が佑香里の顔スレスレを通って、蹴りあげそうになる。小さく「ひっ」と声を漏らして目をつぶるのが非常にかわいらしく思えた。

「なんだ、今度は口答えか!?」
「え、あの……す、すいません、申し訳ありませんっ」
 再び佑香里は額を床につけた。ぞくぞくとする。
「おいおい、謝ってるだけでご主人様が機嫌を直すと思ってるのか、このバカが!」
「す、すいません! えと、その……」
 佑香里の困り顔が拝めた。整った眉が八の字になって、目に少し涙がにじんでいる。本当に女にこんな表情をさせる日が来るとは、夢にも思っていなかった。
「あ、あの、ご主人様……お願いします、佑香里に、ご主人様の靴を舐めさせてくださいっ。お願いしますっ」
「当たり前だ、俺が舐めろと言ったんだ。しかし、ただ舐めるだけか?」
 どんどんと嗜虐心が増大していく。
「え、あの、えと……その……な、何をすればよろしいのでしょうか……」
 タツミは自分でも何を求めているのかは分からない。しかし、答えがないからこそ、佑香里の困惑も本物になる。
「奴隷のくせに主人が何を求めているのかも分からんのか?」
 わざと大きな声で驚いたような声を出す。ほとんど会話もしたことのない女をこんな風に意地悪く追い詰めることができるんだから、俺は相当神経が太いんだなとタツミは思った。
「ご、ごめんなさい……で、でも、あの、えと……」
 佑香里が顔を歪めたまま、泣きそうな顔で黙りこくる。
「おいおい、今度はだんまりか?」
「えっ、あ、え……」
 バドミントンの試合で勝ったから女を好き放題に弄べる。そんな今の状況がバカバカしすぎて、実はすべてが虚構で、佑香里の涙目も演技をしているのではないかと思ってしまう。だが、演技だったら演技だとして、演技でも泣かせてやりたいという思いが急激に強まってくる。
 佑香里は今にも泣きそうな顔をしている。少し鼻と耳が赤くなっている。どうするのが一番この女を怯えさせられるだろうか。どうすれば一番この女を困惑させられるだろうか。
 どうトドメを指すのが最も気分が良いかをタツミは考えて、やはりこれしかないと内心でほくそ笑む。

 防御のない者に最も強く働きかける攻撃なんて、物理的な接触しかないだろう。タツミは心の中で高笑いをしながら、顔では怒りの形相を作って佑香里を睨みつけた。
「おい、どうなんだッ!!」
 手が伸びる。後ろでくくった佑香里の髪をつかむ。顔を自分の方に向かせ、大きな声で怒鳴りつける。
 タツミが普段温厚なのは、このような荒々しい部分を完全に切り離しているからであって、その気になれば温厚さを裏返すように暴力的な性格を出すこともできるのだ。タツミが今まで表に出したことのないような攻撃性が、佑香里に襲い掛かった。
「ひっ、えっうぅ……えううぅ……ご、ごめん、なさぃ……」
 身をすくめて固くなっている佑香里の目から光る涙の粒が零れ落ちた。
 それを見てタツミは急速に満足感を覚えたが、どうにもこの夢のような状況を思うと、ここで解放してしまうのは惜しい気がしてくる。仕方がないので、これ以上いじめることはやめて、普通に調教をしていくような妄想をなぞっていこうとタツミは思った。

「チッ、これからは絶対に喜んで俺の命令に従うと誓うか?」
 手でつかんでいた髪を離すと、佑香里はすぐに姿勢を正して正座し直し、頭を下げた。
「はい、ご主人様……ご主人様のご命令には心から喜んで服従させていただきます。佑香里に、ご主人様の靴を舐めさせてください……」
 涙声でぐずりながら恭順の意を示し、靴を乞う。結局佑香里は因縁をつけられて泣かされただけであった。
 それでも、なんだか縮こまっていた佑香里の態度はさらに小さくなったような気がする。これでもう、佑香里は自分のことを怖れながら過ごすのだろうと思うと、タツミのサディスティックな心理が心地よく刺激された。





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