12.花客に曝け出した散美-10
暴発しそうな腹の中を抑えるために力を入れている括約筋の吸縮は、悠花の花園では淫靡な動きに変わっているのだ。
「一番最後、トイレに行ったのはいつだ? だいぶ前だと……、ヤバいな。とんでもねぇことになりそうだ」
崩落の時を予言されて、悠花は記憶をめまぐるしく辿って最後にトイレを訪れた時を思い出そうとした矢先、
「このスタイルだからよ、便秘ってことはなさそうだぜ。お通じが良くなきゃ、こんなきれいな肌して……、ねぇよっと!」
と、健介が突然一気にシリンダを最後まで押し込んできた。
「があっ! ……んぐっ、あぁ……」
暴挙ともいえる最後の注入に、悠花は濁った悲鳴を上げた。惜しみなくシリンダに満たされていた薬液を最後まで押し入れた健介は、チューブを摘んでゆっくりと引き抜き始める。
「……あぐっ、やっ、だめっ! 抜いちゃだめっ!!」
括約筋の収縮を助けているチューブが退いていくと、悠花の菊門に広がっていく不安は尋常ではなかった。
「あぁ? さっきまで抜けっつってたくせによぉ? ……てか、いくら入ったの?」
竜二は目を固く閉じて眉を震わせている悠花の向こう側の健介へ確認する。
「1500?」
「鬼か、お前」
二人のやり取りから、自分の体に押し込められた薬液の量を数字で知らされると、更に悠花の不安が煽られる。
「抜かないでっ……! ……、あ……、だめ、出ちゃうっ……」
後ろ手の姿のまま、額を竜二の胸板に付いて、直截な言葉で諦めの言葉を発した悠花の菊門からチューブが引き抜かれる。薬液が僅かに流れ出し内ももに垂れてきて、駄目だ、と思った瞬間、別の何かがあてがわれてきた。
「んっ……」
お陰で爆発を免れたわけだが、チューブよりも大きな丸みの感触がグッと押し込まれると、腹内を襲う異物感はチューブの比ではなかった。しかも一つではない。更にもう一つ、中に押し込まれる。
「あっくっ……」
一つ一つ、健介が菊門の中にボールを押し込んでいく。薬液が逆流してくる不安が、いくつもの異物が体内に押し込まれていく得体の知れない恐怖に置き換えられていく。
「アナルビーズ、ってんだぜ? それ」
いくつもの玉が繋がれた性具の名称は悠花にとってはどうでもいいことだった。竜二の男茎を花園に埋められたままの姿で、そんな物を汚辱の場所が呑み込んでいくのを背後の健介には丸見えなのだ。他人に見せるような場所ではないし、そこへ異物を押し込まれる様を見られるなど、普通の人生を歩んでいれば絶対に無いことだった。
すべての玉を押し込んだ健介が漸く手を離す。悠花の菊門にはアナルビーズの端のリングだけが揺れていた。その光景を満足げに見た健介はタバコに火を付けながら、
「よぅ、もっとヤルんだろ? このままマンコ犯して、ケツん中、馴染ませてくれよ」
と言った。
「ひゃはっ、了解っ」
竜二が嬉しそうに、挿入しっぱなしだった男茎の抜き差しを再開し始めた。