フライング・スタリオン-3
5.
今、洋子は昇の胸に抱かれて、ステップを踏んでいる。
ステージのバンドは、スローなテンポでテナーサックスのメロディを流し、客の感傷をくすぐり続ける。
洋子は、ダンスをしながら昇の固いものが、ちょこちょこと腿に当たるのに気付いていた。
フロアが混んで来て、昇は洋子を引き寄せた。ターンをする度に、昇の固いものが、洋子の腿に当たる。
(昇が欲情している)
(昇が私を、女として欲しがっている)
固いものが当たると、昇はさりげなく腰を引いて当たるのを避けているようだ。
昇の困惑を知ると、洋子に余裕が出てきた。
昇が腰を引くと、わざと腿を摺り寄せて、固いものを刺激する。
初めは避けていた昇も、洋子が意識的に接触しているのを知ると、避けるのを止めた。
夜が深まるに連れ、バンドも疲れたのかリズムがだるくなってきた。
フロアの客は、腕を回して抱き合ったまま、身体を揺らしている。
ライトの 光量が落ちてラストを知らせると、昇は洋子の腰を更に深く引き寄せて、固いものを押し込んできた。
「いいのかい」
(もう私のあそこは、濡れているの)
「お部屋取ってあるわ」
昇の唇が重なり、舌が歯を割って入って来た。洋子は、自分の舌で迎えた。
早く、昇に抱かれたい。
6.
客室のワイドな窓から、眼下にライトアップされた氷川丸が、横浜港の波に映え、蜃気楼のように浮いて見える。
壁のリボンに吊るされたサンタクロースが、今夜はクリスマスイブだと告げ、テーブルのポインセチアの赤い花瓶が、さらに華やかさを演出している。
幅広なキングサイズベッドに並んで腰を下ろすと、僕は洋子の肩を引き寄せて、唇を吸った。
「本当にいいのかい」
ここまで来て、いまさら聞くまでもないが、他にいい言葉が見つからない。
オナペットとしての洋子とはすでにお馴染みだが、その本人を目前にして、体が震える。先ほどのダンスからの経過が、まるで夢のよう。(本当にいいのかい?)
洋子と日本で会う約束ができてから、ダッチワイフを使うのを控えてきた。
ダンスの間、ペニスはギンギンに勃起をして、昇を困惑させたが、洋子は嫌な顔をせずに受け入れてくれた。(百の言葉よりも行動か?)
「今日はその積もりで来ましたから。結婚してくれなんて言いません、奥さんいらっしゃるの知ってます」
「コンドーム持ってないよ」
「今日は、いいんです」
僕は、洋子の唇を再び吸うと、胸の開きからブラジャーずらして指を滑り込ませた。
「若しかして、私のこと、妹の様に思っているんじゃないかって、それが心配でした」
「妹を抱いても、勃起はしないよ」
「柔らかい乳房だ、吸いたい」
背中のファスナーを引いた。指はブラジャーのホックを探っている。
「一寸待って・・自分で脱ぎますから」
洋子は立ち上がって昇に背を向けると、ドレスをたくし上げ、腰を落として頭の上から抜いた。
「汗、流してきます」
ベッドの上のバスローブを取ると、シャワー室のドアに消えた。