プロローグ-1
幽霊彼女との日常物語
プロローグ
高校二年生の夏休み、日曜日、晴れ 俺、榊原和哉はデートの真っ最中であった。一緒にいるのは神童心音今日も肩までの黒髪ショートボブに左耳にのみ髪をかける色っぽいヘアスタイルだ。今は、俺の正面でカルボナーラを
頬張っている。可愛いすぎる!
心音は本当に可愛いし、お茶目な性格だ、それに俺たちの通う学園聖スターリア学園のアイドルと呼ばれ、あらゆる人から告白されていた。
俺達が付き合うきっかけは、高校一年の秋のある日の朝。
その日、心音はHRの前、一人の男子生徒から告白を受けていた、それも、クラス内にいるほぼ全員の前で。
当然ながら、クラスのみんなは、冷やかしていた。
だが俺は違った、自分の好きな人が困っているのに、何もできない自分にキレていた。
神童を助けたい!そう強く思った。
気付いたら行動に出ていた
勢い良く立ち上がり、俺、怒る
『もういい加減にしろよ!神童が困っているじゃないか!お前達は神童の気持ち考えたことがあるのか?本当に好きなら、神童が嫌がることぐらいわかるだろ!そんなんもわかってないで告白するなよ!』
すごい、剣幕で言ってしまった。
騒ぎは収まったがやばいこんなことしたらあいつが…
思った時には遅かった。
誰かが背中を叩くあいつだ…
『よっ!和哉!かっこよかったぜ〜』
そう言っているのは幼稚園からの幼馴染の海斗だ。
『うっせ〜黙れよ海斗』
うんざりしながら言う。
『これで神童も惚れたんじゃね?笑』
『そんなはずないだろ、逆に引かれたよ、多分』
『そうでもないと思うぜ』と海斗が指差す先には神童が。
その神童が俺に『こ、これ、後で読んでおいて』
紙切れを渡された
紙には、“放課後屋上に来てください”
小さくそう書かれていた
放課後
(来てしまった…)
心臓がバクバクしている
何を期待しているんだ俺は、と思いながら待つ。
ガチャ…
ゆっくり近づいてくる神童。
心拍数があがる俺。
そして、ぎこちない会話
『な、なに?用事があるんだろ?』
震える声で訊く。
『あ、うん。あのね、今朝のことなんだけど、なんで私をかばってくれたの?私嬉しかったんだ、正直男の人が怖くなってたの。そんな時にあなたが助けてくれた。こんな男の人もいるんだって思ったよ、うちねお父さんが乱暴で離婚したの、それもあって男の人が怖くなってた、けれどあなたは違ったあなたは怖くない。どうして?』
彼女は、俺に聞いた。
俺は、覚悟を決めて告白する事を決心した。
『それは、お前の困る顔がみたくないからだよ、お前が好きだから助けたいと思えた、他の男とは違う、可愛い彼女がいるという肩書きが欲しいだけだ、俺は違う、お前が朝早く来て花に水やりしてるところとか、ゴミ出ししたりしてたことを俺は知っている、そういう優しいところが好きなんだ』
言ってしまった…
彼女は頬を赤らめていた
そして何か言おうとしていた
聞き取れない
『………さい』
?
『……と…さい』
⁇
『私と付き合って下さい!』
こんなことがあって、今に至る。
これからプールに向かう予定だ、
このファミレスから10分程歩いたところにある大規模なプールだ
俺たちは予定通りファミレスを出て
プールに向かった
歩いて3分程経った時、横断歩道の信号待ち、
ふと、右側の反対側の歩道に海斗が見えた。
俺の意識が海斗の方にいったときだった。
プップー、大型トラックの、クラクションの音の後、ドンッ!と鈍い音が聞こえてきた。
『なにが起きたんだ?ここ…ね?』
心音がいない、辺りを見回してみる。
トラックの前に一人の少女
あれは、心音?駆け寄る。
心音だ!
『心音!大丈夫か⁈心音!心音!』
俺は、急いで救急車を呼んだ
突然のことで頭がこんがらがっている。
とりあえず何があったのか、見ていた人に聞いた。
どうやら、犬を助けようとしたらしい。
しばらくして、救急車が来た、俺も同行した。
今は、診察室の前で心音の無事を祈って待っていた。
だが、その祈りも虚しく、心音は帰らぬ人となった。
突然の死に俺は死人のような日を過ごしていた。
そう、“あの日”までは…
プロローグ 終