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和州道中記
【その他 官能小説】

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和州記 -浴場ニテ欲情ス--2

ぼちゃ、どぼん。
音を立てて、瓶ごと媚薬は湯の中へ。
「あ…」
白く濁っていたせいで、沈み行く瓶の様子は見えないが、そこだけぶくぶくと泡が立っていた。
一紺は暫しそれを眺めていた後で、開き直ったように言う。
「まあ、ええ。どうせ大して効かんやろ」
言ったところで、女湯の浴場の扉が開いた。
(げ、竜胆ッ)
慌てた彼は足を滑らせて、石畳に転げ落ちる。
「あ痛ーッ!」
男湯が騒がしいのに気付いた竜胆は、溜息混じりに呆れて言った。
「…大方、覗こうとしていたんだろうな…」

さて、ようやっと着物を脱いで、一紺は熱い湯に浸かっていた。
「うあ〜…極楽や」
鼻歌交じりに湯に浸かっていたその時の彼は、あの媚薬の効果がいかほどのものか、考えもしなかったろう。
そして竜胆も同じく、この心地良い湯のせいで自分がどうなるかなど、思いもよらなかっただろう。
ただ二人は熱い湯に身体を預けていた。
そんな中、ふと竜胆に異変が起こる。
「…熱ッ」
竜胆は、急に身体が燃えるような感覚を覚えた。
すぐに湯から出て冷たい水を浴び、彼女は息をつく。
「?…気のせいか?まさか、温泉の温度が急に変わるなんてことないよな…」
そうして彼女は再び湯に浸かったのであった。


――それから暫く経った。
一紺は、相変わらず鼻歌を歌いながら湯に浸かっていた。何の歌か分からない、滅茶苦茶な歌である。
しかしふと、女湯が妙に静かなのに気が付いた。
隣では水音さえしない。
「のぼせとんのやろか」
ざば、と勢い良く立ち上がった一紺であったが、彼の方も湯に浸かり過ぎて頭が朦朧とする。
「あ、あかん…俺ものぼせ…?」
くらくらと目の前が回るような感覚。
そんな彼は、ふと男湯に入って来た気配に気付く。
(誰や…?)
「!…竜、胆?」
湯煙が立ち込める中、白い肌をさらしながら、竜胆がのらりくらりした足取りで歩み寄る。
彼女は一紺の入っている湯の中へ入ると、一紺の身体に抱き付いた。
そこで、呆然と彼女の姿を見つめていた一紺は、我に返ったように言う。
「な、どないしてん?!」
竜胆は何も言わずに、その柔らかな胸を一紺の引き締まった身体に押し付ける。
(な、何があったのかは知らんが…そないなことしたら…)
理性がもたない。
そんな一紺の思いを知ってか知らずか、竜胆は掌で彼の顔を包むと、己の唇を彼の唇に押し付けた。
押し付けるだけではない。
貪るように、一紺の唇を甘く噛んでは舌を入れて彼の口腔を犯した。
「は…んむッ…ん」
くちゅ、ちゅ…音さえも立てて、竜胆は一紺の唇を貪った。
一紺の理性が、消える。
壁となった岩に竜胆の身体を押し付けて、その舌に己の舌を絡ませる。
何度も何度も、絡ませては吸い、ついばみ、甘噛みする。
唾液が二人の口元から滴り落ち、湯に溶けた。
唇を離せば、唾液が糸を引いて二人を繋ぐ。

「竜胆…」
潤んだ瞳で自分を見上げる彼女の名を呼び、一紺は再び口付けをする。そしてその唇を、耳へ持って行った。
「んくッ?!」
しかし、声を上げたのは一紺の方であった。
「は…ぅくッ…」
竜胆の手が、一紺の一物に触れたのだ。そして、彼女は丁寧に手でそれを扱き出す。


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