無謀3-1
うつ伏せにさせた奈津子にのしかかると身をくねらせた。ずり下がっていき逃げようとする腰をつかむ。パンと張った肉厚の尻に顔を埋めると、どこまでも鼻が沈み込んだ。
「あなたのスーツ姿を見たときからこうしたかった」
田倉はうめくようにつぶやき、ほのかな甘酸っぱさを漂わせる体臭を胸一杯に吸い込む。あごと頬の角張った骨で豊満な尻肉をぐにゅぐにゅと変形させた。
理性により挫折しかけたのだが、今は本能に支配されている。長い腕を上へ下へと伸ばし、手管を弄して愛撫した。手を握り腕をつかみ、わきの下のくぼみに指を入れてこね上げ、ブラウスの上から乳房を包み、細首に触れ、背中から手を入れて柔肌を撫で回し、腰の肉付きを味わい、ブラジャーをずらした。
愛撫の部分が変わるたびにささやかな抵抗を見せる。着ている服を脱がせるごと、体の芳香は強くなっていった。
柔肉を撫でつまみながら田倉も服を脱ぎ捨てていった。二人の服はすべて床に落とされた。側臥位にさせた奈津子の背後から体を密着させ、はち切れるほど血液を蓄えたペニスを、閉じ合わされたふとももの間に差し込んだ。ビクンと体を震わせる奈津子の髪を掻き上げ、うなじや髪の生え際に唇を押し当てていく。頬をつかんで首をねじろうとするが嫌がった。
先端で花弁引っ掻くようにしながら、結合を果たしているような動きを与える。納める部分を確認すると、指先は愛液で濡れそぼつ。桃色に染まった体は結合を待っているように思えた。
雨音が聞こえ始めていた。外はもう闇だろう。予報に反し雨脚がどんどん強くなる。奈津子に気づかれなくてもこの雨の中でも待っていただろう。愛する女のそばにいたいから。
田倉が二つの乳房を握りしめると、「雨のカーテン……」とかすれるような声で奈津子がつぶやいた。乳首をつまんでこねるように愛撫すると白いうなじを見せた。雨のカーテンで自分たちの秘密がベールに包まれている、と言いたかったのだろうか。
片足を持ち上げると素直に従った。ひざの関節に肘を入れ、Yの字の淫らな体勢にして腕を胴に巻き付けた。脚で奈津子の脚を絡め取っていく。身動きできない状態でのセックスは幾度となく行った。体の自由を制限することでそこをしとどに濡らすようになった。
ペニスが短いと入れづらい体位だが田倉なら難なく挿入できる。首を起こしてそこを覗きながら力こぶを作った。要するに股間をもっと広げた。もともと奈津子はしなやかな体をしている。淫らな体位でのセックスが可能だ。浴室やソファーの上で行なった、経験したことのない体位にすすり泣くこともあった。そんなときはサディスティック気分になり激しく責めたものだ。
性器を擦り合わせると粘りを感じた。先端を濡れた部分に含ませていった。深い息を吐きながら田倉の首に頭部を当てる。
――そのとき、ケータイの着信音が聞こえた。
腕の中で体がこわばった。抱いたまま腕を伸ばし、フローリングの床に置いてあるハンドバッグをつかんだ。亀頭がヌルリと抜け落ちる。声を出してもまだ相手に聞こえないのだが奈津子は無言で首を振る。嫌がるように伸ばした手を封じ込め、バッグの中に手を入れた。
「出た方がいい」田倉は白いケータイを取り出した。画面を見ると"義雄"と表示されている。田倉が通話ボタンを押したのでそのまま話すと思ったらしく、腕の中で身じろぐ。手渡すと体の力が抜けた。
崩れたYの形を立て直す。先端を濡れそぼった花弁に押し当てたまま、再び奈津子の胴に腕を巻き付けていった。