投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ボールと家族とワールドカップ
【家族 その他小説】

ボールと家族とワールドカップの最初へ ボールと家族とワールドカップ 12 ボールと家族とワールドカップ 14 ボールと家族とワールドカップの最後へ

試合結果と共に-7

その日の夜、公園のグランド。練習を始める前に、気になっていた事を麻衣に聞いた。

「なあ、どうしてサッカー始めたんだ?やっぱり、なでしこがワールドカップで優勝したからか?」

「失礼ね。お父さんみたいに、にわかサッカーファンじゃないよ」

「じゃあ、どうして」

「本当はもっと早くやりたかったけど、中学の時にクラブが無かったのよ。バレー部には仕方なく入っただけ」

「そうなんですよ、麻衣ったらレギュラーのクセに、こっそり隠れてリフティングの練習してたんですよ。それもバレーボールで。それでこんなに差がついたなんて、狡いと思いません?」

「知美も練習したらよかったじゃない」

「あたしは真面目なのよ」

初耳だった。

「だけど、サッカーに興味惹く物なんて、家に無かったじゃないか」

どうして麻衣がそこまでサッカーに惹かれたのかがわからなかった。

「小学校の授業の時にね、自分はサッカーが得意なのかなって思ったの。ドリブルなんて上手かったんだよ。でも所詮は小学校の授業ね。上手い人はもっと上手い」

麻衣の言葉は途中から聞いて無かった。私は何だかとても可笑しくなり、声を出して笑い出していた。

「くくく、小学校だって、くはははは、ドリブル上手かったって、くっくっ、ははははは」

「何笑ってるのよ!変なお父さんね」

突然笑い出した私に、麻衣は気を悪くしたようだ。でも笑いは止まらなかった。

「もう!恥ずかしいから止めてよ!」

変なお父さんか…

麻衣は間違いなくその変なお父さんの血を引いている。そして私には無い世渡りが上手なところは母親似だな。そう思うと益々可笑しくなってきた。

翌朝の準決勝戦。オランダ対アルゼンチン戦。

メッシが囲まれ、ロッペンも同様に得意の突破は中々見られなかった。

前日の王国崩壊の試合と違って、緊迫した試合が続き、お互い少ないチャンスをものにできないまま、30分の延長戦を経ても決着は付かなかった。

PK対決の結果、4対2でアルゼンチンが120分の死闘を制した。

4日後の決勝戦はドイツ対アルゼンチン、ヨーロッパ対南米の好カードとなった。


ボールと家族とワールドカップの最初へ ボールと家族とワールドカップ 12 ボールと家族とワールドカップ 14 ボールと家族とワールドカップの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前