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花の咲くころ
【女性向け 官能小説】

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「駿ちゃん!」

グレーのスーツに身を包んだ駿ちゃんを見つけて駆け寄る。
「はな」
大好きな駿ちゃんは今日もカッコいい。

「大学卒業おめでとう」
穏やかに笑うその顔は、今日が何の日かきちんと分かっているんだろうか。
夢ちゃんは永遠に他の男のモノになっちゃうんだよ?

「就職はどうした?」
さしてあたしの就職なんかに興味がないとは思うのに。
お姉ちゃんの方をわざと向かずにあたしの方に顔を向ける。

「うん。あたしにはお父さんやお母さん、夢ちゃんみたいに
会社勤めは無理だよ。
一応シュウカツはしたけど。やっぱり無理だと思った。
だから1番好きな事をするよ。フラワーショップに勤めて
大好きなアレンジもさせてもらえそうなんだ」

そんな風にいえば
「花が花屋ねぇ〜」
と、からかう。
「言うと思った!」
とあたしがふくれれば
「うそうそ。花にはそれが1番かもな。良かったな」
なんて笑う。

向こうの方でブーケトスが始まったらしい。
女の子が騒ぎだした。

「あのブーケ。花が作ったんだって?」
「うん。夢ちゃんが作ってほしいって言ってくれたの」
「良かったな」
「うん・・・・夢ちゃん、きれいだね」
「あぁ。本当に」

目を細めて夢ちゃんを見るその瞳に。
あたしが映ることはありますか?



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