はめ殺し-7
「ん……、んんっ……」
いつしか瑞江のフェラチオは熱心になっていた。
(なんだか美味しい……)
いつのまにか強く吸っていた。男の両手は、知らぬ間に下に伸び、彼女の豊かな乳房を揉み上げている。そこから 快感がじんわりと広がり、瑞江の口での愛撫にさらに熱がこもった。そして、顔の前後の動きが激しくなって数十秒。
「うっ…………」
浮浪者が微かに呻いて、瑞江の口の奥に熱い迸りが感じられた。生臭さが鼻腔に立ちのぼる。しかし、嫌悪感はな かった。いや、むしろ、彼女の淫猥な気持ちがワンステージ上がった感じになった。そして、静かにペニスを解放する。淫らな糸を引いてそれ は口から離れていった。瑞江の舌の上に溜まった精液は密かに飲み下された。
吐精した浮浪者は、腰掛けに両手を突き、上を向いて発射の余韻に浸っていたが、
「ありがとうよ、奥さん。とっても気持ちよかったぜ。……これは、ぜひともお礼をしなくちゃいけないな」
と言って涙袋の厚い目を笑いにゆがめた。
「お礼?」
「奥さんにも気持ちよさをプレゼントするよ。おれの、このブツでな」
浮浪者は射精してもまだ少し張りを保っているペニスを指さした。
「おれのブツは、自慢じゃないが、女泣かせだぜ。どんな熟女、どんな小娘でも、しっかりと逝き狂わせる。あん たも、最低二十回は意識が飛ぶぜ。……味わいたいだろう? このペニス」
他人が聞いたら臭いセリフのように思われただろうが、今の瑞江には、妙に蠱惑的に聞こえた。
「……………………」
言葉を返せずにいると、その沈黙を肯定と捉えた浮浪者が立ち上がった。
「ベッドへ移る前に、ちょっと歯を磨かせてくれないか。歯磨きもご無沙汰で口の中が臭いからな」
そう言ってバスルームから出ると、洗面所の歯ブラシを借りようとした。海外出張中の夫が使っていた物の他に、 息子の小さな歯ブラシ、そして瑞江の細身のやつがあった。
「ピ、ピンクの歯ブラシを使ってください」
瑞江は自分のものを提供した。浮浪者はさっそく歯ブラシに練り歯磨きを付けると、勢いよく歯を磨き始めた。全 裸でのブラッシング。横から見ると、彼の腹の肉、尻肉が微かに揺れていた。そして、下腹部では、半勃ちの男根が淫靡にユラユラしてい た……。
知り合ったばかりの浮浪者とともにベッドルームのある二階へ上がる時、ふと、瑞江は夫への慚愧の念にとらわ れたが、先ほど口へ吐精した男に、片手でわっしと尻肉をつかまれた瞬間、彼女は「妻であること」を心から捨て去った。