その2 ちちろのむしと別れけり-2
「あはっ!」
膣の中で糖蜜の入った壺が砕かれでもしたかのように濃厚な快感がお鈴に沸き上がった。食い締める秘肉の狭 間で瑚琳坊の魔羅が往復し始めると、快味が絶え間なく生み出され、お鈴はしなやかな腕を彼の広い背中に巻き付け、白い両脚を律動する 瑚琳坊の腰にグッと絡めた。五寸五分の業物が根元までぴったりと嵌り、子宮(こつぼ)の口を間断なく叩き続けると、お鈴の身体の奥底 から熱い疼きがこみ上げてきた。彼女は瑚琳坊の耳元で鼻にかかった甘え声を途切れることなく漏らし、みみず腫れの盛り上がりが陰核を こすり立てると、お鈴はすすり泣きのような声を上げて白い指を彼の背中に食い込ませた。
「お鈴、お鈴、お鈴……」
瑚琳坊は愛情を込めて呼びかけながら魔羅を盛んに突き立てた。お鈴の秘肉は膣口が狭く、嵌めた竿の根元が 心地よく締め付けられるが、中程と奥も時折キュッとすぼまる三段締めの女陰の持ち主だった。それは瑚琳坊の魔羅を経験するたびに締め 付けが顕著になり、今では閨の業師の瑚琳坊でさえ少しでも気を抜くと果ててしまいそうなほど複雑な締まりを見せた。
(気だてがよく、可愛い上に、こんな素晴らしい陰戸を持ったお鈴を離してなるものか)
瑚琳坊は腰を強く擦り付け、大きく回し、せわしなく振り立てた。
「あうっ! お、おまえ、さ、ま……」
こみ上げる絶頂の予感にお鈴は四肢を突っ張り、瑚琳坊がこれでもかと魔羅を突き入れると、
「くあっ……!」
力み返った白い腹を痙攣させて気をやった。
この晩、瑚琳坊は夜が白々と明け初めるまで、たっぷりとお鈴を可愛がり、彼女は女の喜びを身体の芯まで 染みこませた。
「……おまえ様、ちちろむしのままでいたなら、こんな……こんな喜びは味わえませんでした。……私は、幸 せでした」
「もうそんなことを云うのか……。あと半月あるじゃねえか。おめえが、し、死ぬまで、毎晩、いや、毎日愛 してやる!」
「……嬉しい」
『まことに勝手ながら、しばらく旅に出ます。皆様には御迷惑をおかけ致しますが、お叱りは後日賜りたいと 存じます。 瑚琳坊、鈴』
このような張り紙を見つけたのは、長屋で一番早起きの納豆売りの爺様だった。その報告を受け、
「瑚琳坊のやつめ、わしに断りもなく……」
家主が正規の手続きを踏まずに突然旅立った彼等に腹を立てた。
「往来手形も持たずに、どこへ行こうってんだ」