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ハツミ
【OL/お姉さん 官能小説】

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トモキ 2nd Story-12

カランカランッ―
カフェのドアの開く音がしてハツミが入ってきた。俺の向かいに座り
『ごめんね!少し遅かったかな??』
「ううん!全然!ハツミ何飲む?」
『う―ん、カプチーノかな!』
俺は近くの店員にハツミのオーダーを告げる。
今日のハツミは仕事が休みだからか、服もカジュアルに着こなしていた。俺がついつい服のコーディネートに目がいってしまうのは毎日服を扱う仕事をしているからかも知れない。ファーの付いた短めのニットコートにマーメイド調のツイードのロングスカート、足元は黒のピンヒールブーツ。初めて会った時と少し雰囲気が違って思えるのは髪を巻いているせいだろう。

俺とハツミは他愛の無い会話をしつつ、それぞれのカップの中を減らしていった。
『そろそろ行こうか?』
そう切り出したハツミに従い俺たちはカフェの席をたつ。
何気無く伝票を掴み、ハツミがサイフを取り出す前に会計を済ませる。店のドアを開けハツミを先に通すと
『ありがと。私が思っていたよりもトモキはずっと大人ね。』
そう言ってニッコリ微笑んだ。
歩きだした俺たちはハツミが決めた食事の場所へと向かった。何度かハツミに場所を尋ねたがハツミは曖昧な答えしか返してくれない。
『着くまで秘密よ!』

10分程歩くと辺りは様々なお店と戸建てやマンションなどの住宅の入り混じった場所へと入った。
『ここよ。』
そうハツミが指し示したのはどう見てもただのオートロックマンション。慣れた手付きでロックを解除し中へと進むハツミの後を追い俺もマンションの中へと足を踏み入れる。

―こんな所に食事をする場所が?!

そう思ったが、ある部屋の前に着いたとき俺の疑問は説けた。その部屋の前に立ったハツミは鍵を取りだし、ドアを開く。部屋の表札には〔音宮 葉摘〕の文字。ここは間違いなくハツミの部屋だった。

『何もない部屋だけど、入って。』
そう促された俺は少し戸惑いながらもハツミの部屋へと入る。部屋の様子からおそらくハツミは1人暮らし、そんな部屋に俺を招き入れてしまっていいのだろうか??好きだと言う想いを伝える前にハツミと体を重ねてしまった俺だが、多少の躊躇感はあった。
しかし、ハツミが自分の部屋に俺を呼んでくれたという事は、少からず俺に心を許してくれている気がして嬉しかった。
『いきなりごめんね。驚かせちゃったよね?』
脱いだ自分のコートをハンガーにかけながらハツミが謝った。俺は少し大袈裟に手を振り
「謝るとこじゃないでしょ!!寧ろ俺は喜ぶ所なんだから!!」
と笑って返す。
『そう?ならよかった。すぐ食事の支度出来るからソコに座ってて。』
そうハツミに言われた通り俺はダイニングのソファーへと腰を下ろす。目の前には綺麗に磨かれたガラスのテーブルとアロマキャンドル。きちんと片付けられた部屋の各所には女らしい小物がおかれていた。

―ヤバイ、緊張してきた!!!

今日は精一杯ハツミにふさわしい男になりきるつもりだったのだが、想定もしていなかったこの状況に少し焦る。
そんな俺の様子を知ってか知らずか、ハツミが。ワインのボトルとオープナー、グラスを2つをガラスのテーブルへ置く。
『フランスボルドーのシャトー・ゴスデストゥーネル、93年よ。私が一番好きなワインだからトモキにも気に入ってもらえるといいな!』
そして次々とテーブルの上を美味しそうな料理の盛られた皿が埋めていく。
「もしかして全部ハツミが作ったの?!」
あまりの驚きに俺の声は裏返っていたかも知れない。
『そうよ。休みの日くらい料理作らないとね♪』
そうは言っても趣味の範囲にしてはあまりにも素晴らし過ぎる料理だった。
『ハツミってもしかしてコックさん?!』
真面目にそう聞いた俺にハツミは
「この前は美容師って言ってなかった??」
そうはぐらかす。


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