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不貞の代償
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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無謀2-4

 またしても咎めるような口調に田倉は後悔した。こんな姑息な計画を立てずに、今までどおりにしていればよかったと何度も自問自答を重ねてきた。それら全てを吹っ切った結果がこれだ。一人残された田倉は心細かった。強引に上がり込んだ愛人の家のテーブルに、たった一人で座っている自分が完全に浮いている。明かに場違いだ。トントンと階段を上り下りする足音を聞きながら、いたたまれない気分になった。
 そのときはいい加減に聞いていたが、家庭の主婦は思った以上に忙しい、というようなことを奈津子が話していたのを思い出した。洗濯物と言ったがそれだけではなく、ほかにすることがいろいろとあるのだろう。それにしても奈津子はよく働く。自己中心的で家庭を顧みなかった田倉は目から鱗が落ちる思いであった。
 時計を見ると日が暮れる時間だ。
 奈津子は夕食の支度にかかった。
「有り合わせですけど、よかったらどうぞ」
 田倉は目を見張った。とても有り合わせとは思えない料理がテーブルに並んだ。「いただきます」と言って、田倉は黙々と食べた。こんな形で手料理をごちそうになるとは思わなかった。途中「美味しいです」と顔を上げ、それ以外田倉の方から話しかけないので、二人の間に会話はない。
「こうして二人で食事をするのは久しぶりですね」
 何か話しかけなくてはと思ってそう言ったが、暗にセックスをするだけの関係であることを強調したようで、ここでも自責の念に駆られる。すぐにセックスをしたいので最近は食事もしない。
 食器を片付けるのを手伝った。キッチンに立ち皿を洗いながら「ここにいてもよいのでしょうか」とつぶやくと、奈津子の動きが止まった。そのまま動かないのでもう一度口を開こうとしたとき、突然ガシャンと音がして嗚咽が聞こえた。奈津子は泣きながらしゃがみ込んだ。
 緊張していた体の力がフッと抜ける。
「夕食とても美味しかったです。素晴らしい料理の腕前ですね。どうもありがとう。いろいろとご迷惑をおかけしました。わたしはもう帰ります。今日は本当にすみませんでした」
 肩を震わせて泣いている奈津子に向かって一礼をして、リビングから出て行った。


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