8.女神の宣託-2
「あっ……!」
立ったまま後ろから捲り上げられた時に比べると、一度絶頂に達した後に再び露わにされる羞かしさは段違いだった。しかも立っていた時の露出に比べ、今回は捲り上げることができる最大まで引き上げられたために、ショーツの上端まで外気に晒された状態になっていた。村本の視線を下半身に痛いほど感じて、悠花は更に膝を曲げて内側に擦りあわせ、紺のショーツに包まれた悩ましい曲線に満ちた下腹部を少しでも隠そうとした。
「あはっ……、は、悠花ちゃんっ……、ちゃんとよく見せてよぉ?」
「……」
「ふふっ……、そこで脚開いて、見せてみて?」
村本はどこまで気づいているのだろうか。いや、気づいていなくても、村本の目の前で脚を開いて下着を大きく晒すなんて真似ができるわけがない。
「変態っ! するわけないでしょっ!」
下着姿を晒しながら、捲り上がったスカートを直す手立てもない悠花は、辛うじてそう言い返すことしかできなかった。
「ふふっ……、そお言うと思ったぁ」
「バッ、バカにしてんのっ!?」
直ぐ様そう切り返されると、揶揄に屈辱感がより増してくる。
「まあ、悠花ちゃんのことだから? 自分からヌレヌレパンティを見せてくれるわけない、って思ってたけどぉ」
「くっ……、当たり前でしょ? 濡れ――」
濡れてるわけないし、と言いかけて口をつぐんだ。村本は悠花の下着が「ヌレヌレ」になっていると確信しているようだ。そして自分も……。村本の歯ブラシに意識が飛んでしまうほどの快楽に立たされた時、何度も腰を振って中から大量の羞恥の汁液を溢してしまった記憶がハッキリとある。
「濡れてるわけないよねぇ? 最初に絶対感じないって言ったもんねぇ」
再び最初に悠花が言った言明の揚げ足を取った村本は、押し黙った悠花の目の前で、己が醜い口唇をヨダレに光る舌で一周舐めとり、
「あはっ……、じゃ、じゃぁ、確かめてあげるねっ」
と両手を悠花の下腹部に差し伸ばしてきた。
「うわっ……、ちょ、何すん――」
悠花が言い切る前に村本は既に悠花の下着の両腰の、もっとも生地の細くなった部分に指を通してしっかり掴んでいた。
「ダメッ、離せっ! バカッ、変態っ!」
どれだけ強く罵倒して身を捩っても、しっかりと掴んだ村本の指は離れなかった。その指にぐっと力が入り、悠花の滑らかな下腹部に張り付いてた下着の上端がズレ始めると、
「あぁっ……! やめてっ!!」
哀しみの混じった少し手弱かな声になって、何とか身を捩って何とか薄布がズレていくのを押しとどめようとする。
「はあっ……、ほぉら……、見えちゃうよ。悠花ちゃんの大事なトコ」
立ったまま下着を露出させて正面から顔を突っ込もうと試みた時、あるいは歯ブラシを秘所に侵入させてその敏感な突起をイジリ回した時――、視界に大きく下着姿が映り、その詳細を目の当たりにしても、悠花の肌と下着の縁との境界は全く美しく整っていた。風俗嬢などのように見目は美しく飾っていても、普通の女ならば誰しも尻や脚の付け根といった、いわゆるデリケートゾーンにはシミ、クスミや発疹などが見られた。しかし悠花のそこは何の落ち度もなくただ滑らかな肌が広がるのみで、グラビア写真などでは画像加工でそういったものは消す、というのはファンでも知っている常識であったが、悠花については修正が全く不要なのだろうと、淫欲に塗れて興奮しながらも、冷静に分析した上で半ば感動すら覚えていた。
ゆっくり、ゆっくりと抵抗する悠花を尻目に下着を剥ぎ取っていく悦びに鼓動を高鳴らせながら、下着を握った手を美脚の方へと引き込んでいく。