寝取りの騒ぎ、宵の両国-12
「…………お咲!」
権造は力一杯女房を抱きしめ、お咲も涙を浮かべながら権造の心と肉棒を受け止めていた……。
翌朝、権造とお咲は、初めて夫婦(めおと)になった時のように仲睦まじく朝餉を囲んでいた。権造にとっては 絶えて久しい幸せな朝だった。
そ こへ突然、平六が飛び込んできた。表の戸を踏み倒し、上がりがまちでつんのめり、柱へ鼻の頭をしたたかに打ちつけた。
「痛っ、いててて」
「どうした。騒々しいな」
「お、親分、大変だ!」
「何が大変なんだ? ふぐりの化け物の亡霊でも出たってえのか?」
「い、いや、違う違う」
「だったら何だってぇんだよ」
「こ、今度は…………おさね(陰核)の化け物が出やがった!」
(おわり)