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寝取りの騒ぎ、宵の両国
【歴史物 官能小説】

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寝取りの騒ぎ、宵の両国-1

(この物語は、過去に私が別なペンネームで他のサイトへ発表した作品に加筆修正したものです)





 両国を縄張りとする岡っ引きの権造は、その日、持ち込まれた話を聞いて目を白黒させた。

「なんだって、ふぐり(陰嚢)の化け物が出たぁ?」

渋茶の入った湯飲みを取り落としそうになる権造の横で、一回りも年の若い女房のお咲が顔を赤らめた。そんなこ とにはおかまいなしに、権造の手下である下っ引きの平六は興奮しながら言った。

「ええ、そうなんで。大川端の、あみ福っていう船宿の二階に出たんでさあ」

早口でまくしたてる平六の話を要約するとこうだった。

三 日前、あみ福の亭主が所用で外泊し、朝になって戻ってみると、おかみが布団の上で真っ裸、息も絶えだえになっていた。夜具は乱れ、男の精 と女の汁にまみれた枕紙が散乱している。亭主は誰にやられたと問いただしたが、呆けた女はただ、ふぐりの化け物、としか言わなかったらし い。

「ふぐりたあ金玉のことだろ? ふぐりがどうやって女を犯(や)るってえんだ? 玉だけじゃ始まらねえや。竿 はどうしたんだよ、竿は」

権造が煙管に煙草を詰めながら毒づくと、平六はにやにや笑いながら言った。

「ちゃんとあったみたいですよ。終わったあと、おかみの開(ぼぼ)がだらしなく半開きになるくれえ太いのが」

お 咲の顔がますます赤くなった。権造はやれやれといった顔で煙管を吸い付けながら、

「それで、あみ福の亭主が番屋に訴え出たってわけかい?」

「いや、それがそうじゃねえんで。犯されたおかみは化け物との交合があんまりよかったんで亭主との夜が物足り なくなったらしく、連れ合いが床の中でいくら頑張っても、どこかさめた感じが拭えねえ。それどころか、寝言で『ふぐりさん。たまんないよ う……』とか漏らす始末。そんなことを、あみ福の亭主が湯屋の二階でポロッと愚痴っちまったからたまらねえ。そこに居合わせた連中から、 話はあっというまに両国界隈に広まったってわけなんでさぁ」

「なんでぃ。それじゃ訴えがあったわけじゃねえんだな? 単なる噂話なんだな?」

「へえ」

「馬鹿野郎! そんな事をわざわざおれに話してどうする。こっちは忙しいんだ」

ピシリと煙管を煙草盆に打ちつけ、権造は目を剥いた。

 ところが翌日、権造が女房のお咲の膝枕で耳掃除をしてもらっていると、またもや平六が泡を食って転がり込ん できた。

「お、親分、また出た、また出ましたよぅ」

「何だい、騒々しいな」

「またぞろ、ふぐりの化け物が出たんでさぁ。今度は回向院の裏手の土屋っていう大店の若おかみが犯られた。今 度は、ちゃんとした訴えですぜ。亭主が、かんかんになって自身番にねじ込んできやがったからね」

話を聞くと、なるほど、あみ福の時と同様に、亭主の留守中、寝間に化け物が現れ、若おかみをさんざん凌辱した 末、とりこにしてしまったという。恋女房を寝取られた旦那は恥も外聞もなく番屋に出向き、化け物を引っ捕らえてくれとわめきちらしたそうだ。


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