広島物語り-2
3.
雁首から、電流が走った。
陰嚢にひしめき合っていた精子は、出口を求めて、殺到した。
「イックウゥ」
「うううんムっっ」
腰を突き上げると、男根はさらに奥に伸び、雁首の傘が開く。
どっばあ〜ぁっ
精子をたっぷり含んだ精液が、カヨの子宮目指して降り注ぐ。
「ああぁぁ、飛騨さん、もう駄目じゃぁ」
「カヨさん、カヨさん」
身体を震わせてヨガるカヨの尻を引き寄せ、腰を更に押しこんだ。
二度〜三度〜四度
陰茎がビックン、ビックンと跳ねるたびに、精液が放出された。
硬直したカヨの体が、やがて脱力した。
枕もとのティッシュを抜き取ると、カヨに手渡す。
「飛騨さんっ」
「カヨさん、良かったよ、最高だ」
カヨが、胸に顔を埋める。
「えかった」
4.
僕は大手自動車会社の本社のエンジニアですが、出張で関西、中国方面によく出かけます。 特に毎月の広島出張が楽しみです。なぜかと言うと、広島では、東京と同じ焼きとんが食べられるからです。焼きとんが、大好物なのです。
もう一つは、カヨさんです。妻を亡くしてから、カヨさんとの月一回の逢う瀬は、何ものにも替えがたい大事なものなりました。
広島の会社の代表者は本社からの出向者なので、会社に着くとまず役員室に挨拶をしてから、工場長の部屋に行きます。
「やあ、飛騨さん、いらっしゃい」
「こんにちわ、吉田さん、お元気ですか」
「さっそくじゃが、又、例のところ行きますか?」
「いいですねえ」
「昼のうちに電話せんと、のうなってしまいますけね」
工場長の吉田さんが、机の上の電話に手をのばします。
彼が言っているのは、行きつけの新天地の焼きとん屋の名物料理“テール”のことです。オックステールをとことこ煮込んで、塩で味付けをし、刻みねぎを盛ったた極く単純な料理ですが、なんとも言えず旨いのです。
一日の数が決まった限定販売で、いきなり行っても食べられません。焼きとんが僕の東京でよく行く店の味とよく似ているのと、吉田工場長のご贔屓“テール”があるので、訪問初日の夜はここでくつろぐのが定番になっています。
5.
相変わらず立て込んでいる焼きとん屋で、腰掛を寄せてもらって割り込み、ビールで乾杯です。僕は酒が弱いので、もっぱら食べる専門。ここの焼きとんは、東京と同じです。東京で食べる豆腐煮込みがない代わりに、僕はテールを食べます。
腹の下ごしらえが出来ると、流れ川のバーに席を移します。僕は、ホステスが苦手です。
酒が余り飲めないので、ホステス相手に何か話すと言っても無理なことで、それもホステスが笑い転げるような面白い話など、どこを押しても出てきません。
そんなわけで、二軒ほど梯子をして、夜中近くになってから、宿に送って貰います。原爆ドームの近くの日本旅館を定宿にしています。
宿の玄関を入ると、顔馴染みのカヨさんが出迎えてくれます。
スリッパを引っ掛けて、カヨさんに付いて廊下を歩きましたが、飲まないといってもそれなりにアルコールが入っているので、足元がふらつきます。
「飛騨さん、うちの肩に掴まりんさいな」
カヨさんの肩に被さるように身体を預けて、部屋に入ります。すでに床は延べてあって、二人は縺れるように、床に転がり込みました。
「飛騨さん、待っとったよう」
カヨさんがそう言うと、唇に吸い付いてきました。