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淫魔の夜
【ホラー 官能小説】

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淫魔の夜-15


 私はお坊ちゃまが怒って飛び出した日の夜中、誰かに起こされました。狭い部屋の中に誰かがいるのですがどこにいるのかわかりません。
「ここですよ。クララさん。枕元にいるじゃありませんか」
 女の声がしたので枕元に目をやると、世にもおぞましい悪魔が座っていました。そうです。あの、ミンバペポが座っていたのです。ただお坊ちゃまに聞いていたよりはサイズがかなり小さくて身長は15cmほどで、その分迫力が減っておりました。
「これが私の本当の大きさですよ。アレックス坊ちゃんに前では1mほどの身長になって現れるんですが、そうなるには1週間ほど充電時間がいるのです」
 私は悪魔が普通に私の前に姿を現して、話しかけているので、はっと我に返って言いました。
「お前は坊ちゃまに追い出されたので、今度は私に取り付いたのか?」
 するとミンバペポは笑いながら首を振った。
「違いますよ。私は普段はお坊ちゃんのベッドの下に大人しく隠れているのです。でもお坊ちゃんは先日かんかんに怒って、ベッドの下にレンガを放り込んだのです。きっとトコロシを追い出すやり方を調べてそうしたのでしょう。でもこのまま私が追い出されることになれば、このお屋敷にもあなたにも困ったことが起きるのです。そのことをあなたにお知らせしたくてここに参りました」
 私は悪魔が意外と礼儀正しいので、話を聞く気になった。
「つまり、私はこのお屋敷の財産を守ってやってあげる代わりに、お坊ちゃまの筆卸しの精を頂いて可愛いトコロシを生む積りなのです。お坊ちゃまはとても目鼻立ちが良くて美しいお子さんですから、少しでも見目麗しい悪魔を生みたいという私の願いが叶うというもの。それが叶えられなければ、私の魔力は失せてこのお屋敷はたちまち不運に恵まれ、ここのご主人は破産してしまうでしょう。そうすればあなたも行く場所がなくなり、路頭にさまようことになるのです」
 私はなるほどと思いました。この醜い悪魔は言ってることが筋道が通っている。けれどもお坊ちゃまをこの化け物と交わらせるなどという恐ろしいことは避けなければならない。ではどうしたら良いのか……?
「そこでご提案があるのです。お坊ちゃまは私を気に入ってくれません。でもあなたのことが好きらしい。だから私があなたに取りついて、あなたが私の代わりにお坊ちゃまと交わるのです。でもあなたは妊娠することはありません。精は全部私が頂きますから」
 私はそんな気持ちの悪いことはしたくないと言いました。でも悪魔は言うのです。
「私は貴女の子宮の中に潜ってお坊ちゃまの精を全部吸い取ります。それ以外余計なことは一切しません。そして一度だけそれができましたら、もう二度とこのお屋敷に現れません。お坊ちゃまも全くの自由です。それに私は男に取り付くのが専門ですので、貴女の体からは用が済み次第退散します。お屋敷も破産することなく、後はご主人が気をつけて財産を守れば良いだけの話です。あなたもお坊ちゃまとの情事は一度だけですむように、お坊ちゃまの記憶を消してさし上げます。どうです? こんな良い条件は他にないでしょう」
 結局それで私はその取引に応じたのでした。



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