謎の女-3
とりあえず居酒屋にでも入ろうかとした時に3人の男連れに声をかけられた。
「ねぇ君達、ここらの人じゃないよね?観光??」
チャラめの男だった。人懐っこい笑顔を浮かべているが体は筋肉質。3人ともいい体格をしていた。
「うん、水族館に遊びに来て今日はここに一泊するの。」
「へ〜、そうなんだ!じゃあ俺が明日観光するのにいいとこ教えるから飲もうよ!」
(…こいつらはヤリ目だな。)
若菜はそう感じた。しかしその時だった。渚がその男を指差しこう言った。
「あー!あなたもしかして…マンモスダディ!?」
「ま、マンモスダディって…?」
全く分からない若菜に対して杏奈も知っていた。
「え!?本物!?あ、本当だ!マンモスダディだ!!」
「マンモスダディって何ですか??」
「えっ?知らないんですか!?テレビで有名な!」
「あ…!あの子供ばっかり作って大家族で、最近女遊びがバレて奥さん逃げられちゃったあの!?」
途中まで堂々としていたマンモスダディだったが、浮気の話が出た途端に意気消沈してしまう。
「それを言うなよ…。」
よほど離婚がショックだったようだ。肩を落とすマンモスダディが可哀想になる。
「しょうがない、私達が慰めてあげるよ!飲もっ!!」
若菜はマンモスダディ…、いや矢沢の肩を抱いて居酒屋へ入る。有名人との遭遇に杏奈も渚もテンションが上がる。席につき酒を飲みながら会話が弾む。
「やっぱテレビでやってる通り本当に離婚しちゃったんですか?」
「うん。マジなんだよね。」
「何かショック〜。果歩さんとラブラブで幸せそうだったのに〜。」
「子供はどっちが?」
「みんな持っていかれたよ。」
「え〜!?じゃあ寂しいですね〜。」
「うん、寂しいんだよ、僕〜!」
若菜の太股に手を当ててきた。しかし気にしない若菜。男達に酒をグイグイ飲ませる。会話も段々いやらしくなっていく。
「俺は杏奈ちゃんが好みだな〜。色気がたまらないよ!」
「(ちゃん…?)ありがとうございます〜。」
ちゃん呼ばわりされイラッときたが抑える。
「杏奈ちゃんに叱られてみたいなー、俺!」
「私の叱責は激しいわよ?」
「是非お願いしてぇ〜!」
矢沢は渚が好みのようだ。
「俺は渚ちゃんがいいな〜!エッチの最中、ずっと恥ずかしがってそうだもん。恥ずかしがる渚ちゃんのアレをああして…」
「アレを…ああして…、やだぁ!」
顔を真っ赤にする渚。矢沢達はもはや完璧にお持ち帰り出来ると確信したようだ。
「ねー、君たちのホテルに俺達を止めてよ〜。俺達原発関連の仕事で忙しくてさぁ。可愛い女の子達とパーッとやりたいんだよ〜。何なら最高に燃える秘密兵器も取り寄せられるからさぁ!」
若菜の顔が一瞬真顔になる。
(秘密兵器…?)
その一言に反応したのは杏奈も同じだった。もう少し焦らして話を聞く事にした。